2013 Fiscal Year Annual Research Report
病原メカニズムの解明に基づく海産白点虫症対策の確立
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12J06422
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
善家 孝介 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質分解酵素 / リン酸化酵素 / 海産白点虫 / ワクチン / テトラヒメナ / 寄生虫 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、海産白点虫の病原因子の特定を継続すると共に、リコンビナントワクチンの発現系の最適化を行った。 1. 病原因子の探索 昨年度までに、zymography上のバンドとして特定されていた、感染ステージに特異的に発現するタンパク質分解酵素について、アフィニティカラムを利用して精製した後、質量分析を行い同定を試みた。海産白点虫については、検索に必要なタンパク質のデータベースが十分に確立していないため、de novo解析により部分アミノ酸配列を推測し、これを元に、degenerate PCRおよびRACE PCRを行い、cDNAの全長配列を決定した。この新規のタンパク質分解酵素は他の繊毛虫のcathepsin Lに高い相同性を示した。Cathepsin Lは他の病原性の原虫において、病原因子として働く可能性が示唆されており、今後さらに詳細な機能解析を進めていく予定である。 2. 海産白点虫タンパク質の発現系 昨年度に確立したテトラヒメナを用いた発現系を利用して、既知のワクチン抗原であるi-antigenの発現を試みたが、これまでに確立した系では効率的な発現が見られなかった。そこで、各種の検討を行った結果、導入する遺伝子の開始コドン周辺の配列の最適化、および、精製に用いるtagについて最適なものを選択することにより、十分な発現量を確保し、精製を行うことができた。今後、i-antigenについては大腸菌を用いて作製したリコンビナントタンパク質と抗原性の違いを比較する予定であり、上記のタンパク質分解酵素等についてテトラヒメナ発現系を用いて、リコンビナントタンパク質を作製し機能解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定にあったいくつかの課題については、時間と研究予算の都合により、取り組むことができなかった。しかしながら、病原因子候補の遺伝子の同定は完了し、リコンビナントワクチンの発現系も完成しており、今年度は最終目的である、新規ワクチンの開発に取り組むことができる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究の予定研究期間の最終年度であるため、最終的な目標であるのワクチン開発を達成することを念頭に置き、昨年度までに同定した病原因子候補に対するワクチンの作製とその試験を優先的に行う。また、時間と予算の状況を勘案しつつ、さらに多くの病原因子候補の同定も引き続き行っていく予定である。
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