2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞における選択的スプライシング制御の生理学的役割の解明
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12J06431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴嵜 孝幸 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経幹細胞 / RNA結合蛋白質 / PTBP1 / 脳発生 |
Research Abstract |
今年度は、PTB欠損胎生期神経幹細胞においてスプライシングパターンに異常が出る遺伝子を網羅的に調べるために、エクソンアレイを用いた解析を行った。また、成体神経幹細胞におけるPTB欠損の影響を調べるために、成体脳においてコンディショナルにPTBを欠損させ、組織学的解析を行った。さらに、本研究課題に関連する以前の研究をまとめた論文を発表した。 1)胎生期神経幹細胞について 胎生14.5日PTBcKOマウス脳より大脳皮質領域を外科的に取り出し、シングルセルにしたのち、成長因子添加条件で培養し、幹細胞を選択的に増殖させた。培養後の細胞からRNAを抽出し、PTBの発現やNestinやTuj1といった分化マーカーの発現をqPCRで確認し、分化状態にcKOと対照群とで差がないことを確認した。エクソンアレイの結果では、複数の標的候補遺伝子が同定されおり、今後RT-PCRによる確認、PTB強制発現によるスプライシングパターンのレスキュー実験、アイソフォームの機能解析を行う予定である。 2)成体脳神経幹細胞について 生後8週齢のPtbf1/f1;Nestin-CreERT2に対して、タモキシフェンを投与し、1週間後にPTBの発現が消失している幹細胞が側脳室下帯や海馬穎粒細胞下層に存在していることを確認した。同時に、Sox2/GFAP二重陽性の幹細胞の数を調べたが、対照群と比較して大きな差は見られなかった。さらに、側脳室下帯における神経新生に対する影響を調べるために、BrdU投与により新生神経細胞を標識後、それらの細胞の数や位置を投与2週間後に調べたが、最終的な移動地点である嗅球におけるbrdU陽性細胞の数や嗅球内での位置には大きな変化はなかった。これらの結果から、成体神経幹細胞ではPTBの働きはその相同遺伝子であるnPTBにより補償されるのでないかと考え、現在、PTB/nPTB二重欠損を誘導できるマウスを作製しており、準備ができ次第、解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エクソンアレイのデータ解析に時間を要したため。また、成体脳を対象した解析では期待通りの結果が出ず、計画の変更を余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1)胎生期神経幹細胞について今後は、エクソンアレイの結果をRT-PCRやqPCRにより確認し、PTB強制発現によるスプライシングパターンのレスキュー実験、アイソフォームの機能解析を行う。2)成体脳神経幹細胞について今後は、PTB/nPTB二重欠損マウスを作製し、解析を行う。
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Research Products
(1 results)