2012 Fiscal Year Annual Research Report
少数アンテナを用いたUWBドップラーレーダによる人体イメージング法
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12J06485
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐保 賢志 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | UWBドップラーレーダ / 干渉計法 / 人体イメージング / 歩行人体識別 |
Research Abstract |
本年度は人体の高分解能イメージング法の提案、及び交付申請書の計画と異なり来年度に実施予定であった形状及び運動を利用した人体識別に主に取り組んだ。前者については本研究で用いたイメージング法であるUWBドップラーレーダ干渉計法において問題となっていた、複数目標間の干渉に起因した虚像を目標の速度情報に基づき除去する手法を提案した。提案手法により人体の腕や足などが識別可能なほどの高分解能人体イメージングを実現した。提案手法が実際の室内で歩行する人体に有効であることを確かめた。さらにリアルタイムでの運動と形状の識別が可能であることを示した。本成果は世界で初めて、レーダを用いた3次元での人体の形状推定に成功したものであり、極めて重要な成果である。本成果は論文誌に掲載された他、来年度の国際会議に招待され、また京都大学情報学研究科主催のシンポジウムICTイノベーション2013において優秀研究賞を受賞するなど、高く評価された。また本技術に関連した特許が公開され、産業界にも貢献する成果であることを示した。 次に、提案手法により研究前の予想を上回る高分解能かつ高信頼度のイメージングが可能となったため、予定していた適応アンテナ法による高解像度化は実施せず、得られた高分解能イメージを利用した人体の運動識別法に取り組んだ。まず、人体イメージの外形を抽出し、この結果に基づき人体の上下半身を分離識別する手法を提案した。そして上下半身各々の速度分布の標準偏差と平均値を特徴パラメータとして、判別分析法により各種の歩行人体を分類する手法を提案した。松葉杖を用いている歩行者や車椅子に乗っている歩行者など6種の歩行人体の実データに提案手法を適用した結果、これらのリアルタイムでの識別を96%という高精度で達成した。本成果はアンテナ伝播に関する国際会議ISAP2012においてBest Paper Awardを受賞するなど極めて高い評価を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では本年度は主にイメージング精度の改善に注力する予定であったが、開発した技術により当初の予想を上回る高分解能人体イメージングが実現した。このため、計画書に記載のイメージの高精度化に関する課題を行う必要がなくなり、本研究課題において最も重要であった人体の識別に着手することができた。これは本来来年度に予定したものであり、当初の計画を上回るスピードで計画が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、計画を上回る進展があったため、研究計画を変更する。当初の予定では本研究は単一の歩行人体のみを対象とした基礎研究とする予定であったが、実用に適する人体識別法の開発に成功したことを受けて、より実用性を高めるため複数人体の同時センシングについて検討する。単一人体のために開発した高分解能イメージング及び高精度識別法を複数人体にどのように適用するかを実験データを用いて検討する。複数人体のデータ分離に有効な判別分析・クラスター分析法を調べる。また、前年度行う予定であったものの不要となった適応アンテナ法もこの課題においては複数人体の分離において重要な技術となりうる。そこで当初の適用目的とは違うものの、この手法についても検討する予定である。
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