2012 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造未知の脂肪酸・ポリケチド型微量生理活性天然物に関する合成化学的研究
Project/Area Number |
12J06489
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉科 友輔 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天然物化学 / 全合成 / グリセロ糖脂質 / nigricanoside |
Research Abstract |
Mgricanoside AおよびBはタキソールと同様の機序により、ガン細胞の有糸分裂を強力に阻害するグリセロ糖脂質である。本化合物群は緑藻Avrainvillea nigricansから発見されたが、その単離量は極めて僅かであったためその立体化学は未だ不明であり、十分な活性試験も行われていない。申請者は、Nigricanoside類の予想立体異性体の合成と立体化学の解明および大量合成を見据えた合成ルートの確立を目的として研究を行っている。 本化合物群は上部脂肪酸部位(α鎖)、中間部脂肪酸部位(β鎖)、下部ガラクトシルグリセロール部位(GG)がそれぞれエーテル結合により連結した構造であるとみなすことができる。このうち、α鎖フラグメントの合成については年度開始時に完了していたため、申請者はβ鎖およびGGの合成と両フラグメントの連結について研究を行った。 D-galactoseより既知の方法で導いたガラクトグリセロールに対し、2級ヒドロキシ基のベンゾイル保護を含む変換により、β鎖との連結前駆体となるGGを調製した。このGGに対し、3-オキソグルタル酸ジエチルより調製した炭素数15のβ鎖モデルとの連結反応を検討したが、種々の検討にもかかわらず両フラグメントのカップリング成績体は得られなかった。 この結果を受け、申請者は合成計画を一部変更することとした。すなわち、GGの6位のヒドロキシ基について単純な低炭素鎖化合物と連結させたのち、Evansの方法を用いて不斉炭素を制御しつつ、炭素鎖を伸長する計画を立案し、実際に研究を行った。また、以降の展開においてGGのすべての2級ヒドロキシ基を同一の官能基で保護する必要性があると判断したため、適切な保護基の検討を行うものとした。現在は炭素鎖伸長における条件の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していたルートでの合成が困難であると判断し、計画の変更を余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、年度初めの計画を変更する必要性を生じたため、新規に立案した合成計画に従いGG→β鎖のエーテル結合の構築および炭素鎖伸長によるβ鎖の骨格構築を目指す。同時に、α鎖→β鎖のエーテル結合の構築についてもモデル化合物を用いた実験を行い、適切な条件を検討する予定である。
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