2013 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造未知の脂肪酸・ポリケチド型微量生理活性天然物に関する合成化学的研究
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12J06489
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉科 友輔 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天然物化学 / 全合成 / グリセロ糖脂質 / nigricanoside |
Research Abstract |
Nigricanoside AおよびBはタキソールと同様の機序により、ガン細胞の有糸分裂を強力に阻害するグリセロ糖脂質である。本化合物群は緑藻Avrainvillea nigricansから発見されたが、その単離量は極めて僅かであったためその立体化学は未だ不明であり、十分な活性試験も行われていない。申請者は、Nigricanoside類の予想立体異性体の合成と立体化学の解明および大量合成を見据えた合成ルートの確立を目的として研究を行つている。 本化合物群は上部脂肪酸部位(α鎖)、中間部脂肪酸部位(β鎖)、下部ガラクトシルグリセロール部位(GG)がそれぞれエーテル結合により連結した構造であるとみなすことができる。申請者は前年度に引き続き、GG部位とβ鎖の連結および炭素鎖伸長を検討した。 既知の方法によりD-galactoseの1,2-および3,4-位の2級ヒドロキシ基を選択的にアセトナイドで保護した後、6位の1級ヒドロキシ基に対して二相系でアリルブロミドを作用させることによりアリル単位を導入した。アセトナイド保護をアセチルに掛け替えた後、Schumidtグリコシル化を含む種々の変換を経てGG部位の全骨格を有するフラグメントを得た。さらにアセチル保護をシリル保護に掛け替え、アリル基をオゾン酸化と続くPinnick酸化によりグリコール酸とした後、混合酸無水物を経てEvansの不斉補助基と連結させることにより、アルキル化反応前駆体へと導いた。 このフラグメントに対し、別途調製したアリルヨージドとの不斉アルキル化反応を検討した。未だ反応条件を最適化するには至っていないが、現在収率22%ジアステレオ比4:1の選択性で望む化合物が得られることを確認している。両ジアステレオマーはカラムクロマトグラフィーによる分離が可能であった。現在はこの反応の最適化を図るとともに、さらなる炭素鎖伸長による炭素骨格の構築を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の問題点に対しては解決策を見出したが、未だ炭素骨格の合成を完了していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、当該する不斉アルキル化反応について収率および選択性の向上を目指し検討を行う。今回はEvansアルキル化反応のみを検討したが、今後別の不斉アルキル化の手法も試す予定である。 GG部位のフラグメントについては不斉アルキル化の後、不斉補助基の除去とスルホン基への変換によりJuliaカップリング前駆体を調製する。これと並行してα鎖を含むカップリングパートナーを調製し、両者の連結によりNigricanoside類の全炭素骨格構築を目指す。
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Research Products
(2 results)