2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J06532
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
政所 大輔 神戸大学, 大学院法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際関係論 / 保護する責任 / 規範 / 国際連合(国連) / 介入と国家主権に関する国際倭員会 / 日本の国連外交 / 規範起業家 / 国連事務総長 |
Research Abstract |
本研究は、武力紛争下の市民保護に関する「保護する責任」という新しい規範が、いかにして形成され伝播してきたのかを解明することを目的とする。研究を進めるにあたって、(1)保護する責任の提唱に至る過程(1990年代~2001年)、(2)提唱後・国連の政策課題として認識される過程(2002~2005年)、(3)国連システムへの導入の過程(2005~2009年)、(4)2009年前後以降、実際問題に適用される過程(2009年前後~2011年)の四つの局面に区分して、それぞれ検討・分析を行う。 上記の(2)、(3)、(4)については平成24年度に取り組んだため、平成25年度は、(1)の分析と(2)、(3)、(4)の追加調査、および総括を目的に研究を進めた。特に、投稿論文の執筆に時間を割いた。本年度の研究成果として、まず、(1)に関しては、保護する責任を提唱した「介入と国家主権に関する国際委員会」(ICISS)の活動や役割を解明するために、オーストラリアとカナダで聞き取り調査と資料調査を行った。同調査をもとに執筆した論文を、2014年3月にカナダのトロントで開かれた、international Studies Association (ISA)で報告した。これまで理論的な分析が乏しかった国際委員会の役割を明らかにした同論文は、国際社会における規範の形成を理解する上で、重要な意義を持っている。 また、(2)、(3)については、平成24年度中に米国ニューヨークなどで実施していた、国連職員や国連代表部職員、NGO関係者らへの聞き取り調査をもとに、2013年4月に米国サンフランシスコで開かれた、工SAに論文を提出の上、口頭報告を行った。同報告の後、追加調査を行い、2013年7月に同志社大学で開かれた、国際安全保障学会の第5回定例研究会で口頭報告した。 さらに、保護する責任に対する日本の姿勢の変化について考察した論文が、『国連ジャーナル』2014年春号に掲載された。また、保護する責任の規範形成における国連事務総長の役割を分析した論文を英文ジャーナルに投稿し、現在、査読結果に基づき修正中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)