2013 Fiscal Year Annual Research Report
違和感のない操作が可能な全方向移動パワーアシスト制御システムの研究
Project/Area Number |
12J06543
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
上野 祐樹 豊橋技術科学大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 全方向移動機構 / タイヤ工学 / パワーアシスト制御 |
Research Abstract |
本年度はまず, 昨年度に引き続き全方向移動機構であるキャスタ型機構の解析を行った, 旋回時に振動およびモータ出力上昇が発生する問題について, 昨年度の報告では, 車輪に作用する摩擦力を解析し改善手法を導出したが, 本年度はこの問題をタイヤ工学におけるスリップ角と横力によって説明できることが明らかになった. またこの関係性から同様に改善手法を導出し, 検証実験では旋回時のモータ出力を大幅に軽減できることが確認できた. しかし, 並進時に操舵軸のトルク(操舵トルク)がほぼ零であるのに対し, 旋回時には発生している問題も確認できた. 追加で行った実験結果から, 路面状況により余分に発生する操舵トルクは異なり, 車輪角度を適切に変化させることで並進時並みに操舵トルクを低減可能であることがわかった. しかし, 時々刻々変化する路面状況を推定し対応するのは困難であるため, 操舵トルクを用いた車輪角フィードバック制御等による対処が現実的であると言える. 本年度は, 提案手法だけでも十分な改善結果が得られたため, ここまでは行わなかった. 次に, パワーアシストの応用性を検証するために, 全方向移動ベッドを用いて操作実験を行った. 実験は, 車いすにて構築されたシステムをベッドに搭載し, 前後左右, 旋回の基本的な動作と, 実使用環境を想定した廊下の走行を, 操作者の意図推定手法を用いなし暢合と用いた場合, さらにパワーアシストが無く重い状態でそれぞれ実施した. 結果から, パラメータの調節が必要であるものの, 従来のシステムを他機器へも直接応用可能であり, 操作意図推定手法により操作性の改善効果が得られることがわかった. また, パワーアシストが無い場合は重く操作しにくいものの, 車両の挙動を把握しやすく操作性は良好であったとの結果が得られた. このことから, 操作者にとって挙動を把握しやすいシステムを実現することで更なる操作性改善が可能になると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前半の機構解析に時間を要したため, パワーアシストの操作性に関する検証実験を行うための十分な時間が確保できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
パワーアシストシステムのように, 人を対象にした実験では, 毎回同じ結果が得られないことが問題として挙げられる. これに対し, 人を含むシステムのモデル構築などができれば, シミュレーションによる検証も可能になると考える. さらに, 操作者の慣れも問題として挙げられる. 長期的に実験を行うと, 被験者の慣れの影響が現れるため, 今後対処が必要になると考える.
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Research Products
(1 results)