2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア内膜におけるタンパク質の制御機構に関する生命情報学的解析
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12J06550
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深沢 嘉紀 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリア / タンパク質 / シグナル配列 / 切断 / プレ配列 / 内膜 |
Research Abstract |
ミトコンドリア内膜におけるタンパク質の局在や切断を解析するために、本研究ではシグナル配列(MTS)と膜貫通領域(脚D)、またタンパク質のドメイン等を利用したシステムの構築を考えている。 本年度中に予定していたMTSの予測器の改良は順調に進行しており、酵母や植物だけではなくヒトなどを含む広範な生物種のミトコンドリアのシグナル配列を含んだテストデータセットにおいて、先行研究よりも高い精度で予測できることを確認した。 この改良における重要な点の一つが、MPPというミトコンドリアマトリクス局在のプロテアーゼによって切断を受けるMTSの切断部位周辺の情報を整理した点であると考えられる。 本年度中に、大規模実験により提供された切断部位周辺の情報を解析し、切断部位の周辺を表すプロファイルを作成しなおした。これにより、先行研究であるTargetP等よりも高い正確度でMPPによる切断部位の位置を予測することが可能となった。 この切断部位の予測に関しても、ヒト、酵母、シロイヌナズナそしてイネなどにおける大規模実験の結果で検証を行っており、先行研究より高い正確度で予測が可能であることを確認している。 切断部位周辺の配列は、ミトコンドリアタンパク質の輸送に関わるTOM20の認識モチーフと重なり得ることが知られている。切断部位周辺が切断に関する情報だけではなく、輸送に関係する情報も含んでいたため、重要な改良点となったと考えている。 現在は、これらの結果をまとめ、論文誌への投稿用の原稿を作成している。 また、内膜に局在するタンパク質の配列データも並行して集めており、現在解析用にローカルなストレージに保存を行っている。 これとは別に、最近ヒトのプロテオームにおけるタンパク質分解に関する大規模な実験と、その結果を含んだデータベースが報告された。こういった将来の解析対象となるデータも併せて収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた予測器の改良は順調に進んでおり、ヒト等未検証であった生物種においても適用可能であることを確認した。また、データの収集も進めており、来年度に向けて準備はおおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作成した予測器を他の特徴と組み合わせることで、ミトコンドリア内膜解析のパイプラインを作成する。これを用いて、既存のデータベース中の配列を解析する準備とする。これとは別に、パイプライン作成が順調に終了した場合、本年度収集した大規模なタンパク質切断の解析結果とも照合する。後者のデータはミトコンドリアタンパク質の切断も含んでおり、次年度以降の解析において非常に有用なデータである。MTS予測や内膜の解析と組み合わせることで、創薬支援に繋がると考えている。
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Research Products
(4 results)