2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア内膜におけるタンパク質の制御機構に関する生命情報学的解析
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12J06550
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深沢 嘉紀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリア / シグナル配列 / 膜貫通領域( / 予測 / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
シグナル配列予測に関しては以前から進めていた進化的類縁配列を用いた解析を最終的にまとめ、原著論文として投稿・採択された。特にミトコンドリア局在シグナルは、一般的に言われているような「進化的に保存されている=構造的制約=重要」という一般的な認識と異なり、保存度が極めて低いのが特徴である。本研究では、その保存度の無さを逆に利用すると、予測力のある特徴として有望であると確認した。 また、膜貫通領域の解析は、主として昨年度収集したデータに対し、ミトコンドリアの膜貫通領域と、それ以外の分泌系である小胞体や細胞膜など一般的な膜における膜貫通領域の間で何か差異があるのかを解析しつつ、予測力改善に焦点を当てた。スウェーデンのvon Heijneグループが提唱している一般的な膜貫通領域を定式化したモデルを用いて両者を比較解析した結果、以前から言われているようにミトコンドリア内膜は疎水性などが低く、長さも短い傾向が観測された。この疎水性の低さは、組成を解析したところ典型的なロイシンやイソロイシンの出現頻度がやや低く、特にグリシンの出現頻度が高いことで説明される。実際、グリシンの出現頻度は一般的な膜貫通領域に比して有意に多く、何らかの制約が存在していることを示唆している。また、位置毎の出現頻度を解析したところ以前報告されていたように、負電荷の残基の出現傾向が内膜ではマトリクス側で出現しにくく非対称であることが観測されている。 予測力改善のため、こういった特徴量を数値化し、現在はSVMと呼ばれる機械学習の手法に与えることで膜貫通領域と細胞質の水溶性タンパク質内における判別が困難な部位との分類を精度良く行えるシステムを開発した。今後は、配向性などを考慮しつつ、より予測が難しい複数本型の正確な予測を行えるよう改善を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り予測システムの構築は順調に進んでおり、予想外であったグリシンの出現頻度が高いという特徴などを発見し、利用している。
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Strategy for Future Research Activity |
膜タンパク質と水溶性のタンパク質を判別する問題に関しては概ね終了したため、今後は配向性の予測に焦点を当てる。
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Research Products
(3 results)