2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子実体に基づく自律神経調節機構を備えた循環動態モデルの構築
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12J06615
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
姫野 友紀子 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 循環モデル / シミュレーション / 自律神経制御 / 心筋細胞 |
Research Abstract |
すでに天野教授のグループで開発されていたsimBio版のOu model(2012)をもとに、自律神経制御系を含む全身循環モデルを作成した。心室筋細胞モデルの制御については、Nobuaki model(2007)を参考に調整をおこなった。 Nobuaki model(2007)において細胞モデルであるKyoto model(2003)の収縮力を制御する箇所に、刺激頻度一収縮力関係を補正するための項が含まれていた。これは、Kyoto modelの収縮力が刺激頻度上昇に応じて弱くなるという性質が見られたためである。しかし、今回のモデルではイソプロテレノール(ISP)の濃度[ISP]で細胞モデルを制御するという目的上、補正項を見込んだ[ISP]を与えて収縮力を制御することができるよう、アルゴリズムを検討した。この検討により、循環モデルがより分子実体に基づく制御に近いものとなった。 今回新たに作成した、自律神経制御を含めた全身循環モデルで、ヒト乳児におけるHead-up-tilt試験の結果(血圧変化、心拍変化の計測値および時間経過)がうまく再現できることを確認した。さらに、このモデルを用いて運動状態を再現するためのパラメーターを4つ(vasodilation,activation,venoconstriction,resetting of baro-reflex)に絞り込んだ。循環モデルにおいて、VasodilationはResistanceを減少させ、activationは運動によって活動量が増す組織(上肢UPと下肢L1)の血流量を増加させ、venoconstrictionはComplianceやZero Pressure Filling Volumeとして計算されている静脈系血管にプールされている血液を循環血液の方へ分配する。最後のresetting of baro-reflexは運動時に圧受容体反射のresettingが起こるという現象を再現するための項である。この4つのパラメーターを調節することで、小型のほ乳動物でみられる運動時の臓器ごとの血液分布をうまく再現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を変更して、2年目の全身循環のシステムモデルを先にまとめることにしたため計画との単純な比較は難しいが、扱うシステムのボリュームが当初の予定よりも大きいものとなっているため、内容的には予定通りの進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、当初の予定ではアセチルコリンKチャネルのモデル化と細胞一神経間隙での神経伝達物質の拡散のシミュレーションをおこなうことになっていたが、細部のモデル化をおこなう前に全身循環モデルのプログラムコードの全容をまず把握することを目的として2年目の全身モデルと細胞モデルの統合の部分を先におこなうこととした。ペースメーカー細胞モデルの実装は動作確認まで済ませた。アセチルコリンKチャネルのモデル化が終わってから、来年度以降に発火頻度制御がうまく再現できるよう、調整をおこなう。
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Research Products
(3 results)