2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子実体に基づく自律神経調節機構を備えた循環動態モデルの構築
Project/Area Number |
12J06615
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
姫野 友紀子 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 毛細血管 / 膠質浸透圧 / 血圧 / 間質 / 組織液 / リンパ |
Research Abstract |
当該年度は、アセチルコリンによるペースメーカー細胞の発火頻度調節に関するモデルの作成と毛細血管モデルの作成の2テーマについて研究を進める予定であったが、毛細血管モデルのみ研究が進展したので、以下に報告する。 毛細血管における体液の濾過量はスターリング仮説に基づいて計算した。これは、血管内の圧、つまり血圧と組織圧との差、から血管内と組織内の膠質浸透圧の差に濾過係数 K をかけることで、毛細血管壁を介する水の移動量を計算できるというシンプルな式である。毛細血管の構造は円筒状モデルを想定した。毛細血管の圧勾配は動脈端から静脈端へ向けて線形に減少すると仮定した。全長0.6mmの毛細血管を60個のコンパートメントに分割して、各コンパートメントにおいて先に述べたスターリング仮説による式を用いて水の出入りを計算する。動物の組織にはコンプライアンスが非線形であるという特徴がある。このしくみが浮腫を防ぐための負のフィードバック機構をもたらす。また、漏出した水の一部はリンパを通して組織から持ち去られ、頸静脈から血管内へと戻ってくる。毛細血管は基本的には水のみを通す半透膜と考えるが、一部膜を介したタンパクの移動や水に溶解しているタンパクの透過が実験的に観察されている。またリンパ管の役割として、組織にあるタンパクを除去して膠質浸透圧を下げるということが体液調節に重要であるので、タンパクの移動も加味して計算できるモデルにした。 このモデルは、これまで教科書にある瞬間を切り取ったグラフとしてしか表現できなかった膠質浸透圧-静水圧関係を、数式でリアルタイムに計算しながら表示させることができ、より現実の生体に近い状態を表現できるモデルとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は当初2つのテーマを掲げていた。そのうちの1つのテーマについては進展したが、アセチルコリンチャネルのモデル化については進展しなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
毛細血管モデルを完成させ、論文にまとめると同時に、全身循環モデルのなかに位置づけ発展させていく。自律神経調節機構を備えた全身循環モデルの構築が最終目標なので、その目標を目指してモデル整備を進める。
|
Research Products
(1 results)