2012 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧プラズマシミュレーションの開発-次世代プラズマプロセスの実現を目指して-
Project/Area Number |
12J06646
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小室 淳史 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大気圧プラズマ / ストリーマ放電 / 放電シミュレーション / Oラジカル / Nラジカル / OHラジカル / 化学反応モデリング / 放電電圧波形 |
Research Abstract |
本研究の目的は、実験と理論の両面から大気圧プラズマの反応機構解明に取り組み、実験結果に裏打ちされた世界初の大気圧プラズマシミュレーションを開発することである。この目的を達成するために、本年度は以下の項目について研究を行った。 (1)シミュレーションとの比較実験に適した放電装置の開発と、その特性計測 (2)プラズマ中のO,OHラジカル計測 (3)シミュレーション結果と実験結果の比較 (1)に関しては、放電のノイズやばらつきが極力抑えられるような新しい放電装置・放電リアクタの開発を行った。その結果、放電ノイズが、放電そのものや計器に及ぼす影響を大幅に低減することに成功した。これにより、実験計測の精度が向上し、シミュレーション結果との比較が行いやすくなった。 (2)では、(1)で開発した放電装置を用い、プラズマ応用にとって重要な役割を果たしている0,0Hラジカルの計測をおこなった。特に、放電電圧波形が、ラジカルの生成に及ぼす影響について調べた。その結果、放電電圧波形の立ち上がり速度が、ラジカルの生成量や生成効率に大きな影響を与えていることが分かった。現在まで、放電電圧波形が放電様相に影響を与えていることは報告されているが、ラジカル生成に与える影響は分かっていなかった。今回の研究により、放電電圧波形を細かく制御することにより、それぞれの応用技術に適したプラズマを生成することが出来る可能性が示唆された(論文投稿 中)。 (3)では、本研究室で以前に行った実験計測結果と(2)の実験結果に対して、同様の条件でシミュレーションを行い、プラズマ中の化学反応過程の解明を行った。その結果、O,Nラジカルの生成機構(Komuro A et. al., JPD, 45, 265201)と、OHラジカルの生成機構(Komuro A et. al., JPD,掲載確定)が明らかになった。これらの基礎研究結果は、全てのプラズマ応用技術の発展に通じるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに研究が進み、その成果を定期的に論文や、学会発表といった形で報告することが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度はほぼ計画通りに研究を遂行することが出来たので、次年度も引き続き研究計画に従い、研究を行っていく。余裕があれば、実験計画書には記載しなかった他のラジカル(NOや03等)に関しても実験とシミュレーションを行い、その反応機構の解明を行っていきたいと考えている。
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Research Products
(11 results)