2013 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧プラズマシミュレーションの開発-次世代プラズマプロセスの実現を目指して-
Project/Area Number |
12J06646
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小室 淳史 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ストリーマ放電 / シミュレーション / ラジカル / 大気圧プラズマ / 振動励起分子 / 化学反応 / 電界計算 / 高速数値計算 |
Research Abstract |
本研究は、大気圧ストリーマ放電のモデリングを行い、実験とシミュレーション結果の比較・検討を繰り返しながら、高性能なシミュレーションモデルの確立を目指したものである。前年度までの研究においては、放電中の現象(放電開始から1μ秒以内の現象)のモデリングを行い、放電発光やラジカルの生成分布を高精度に再現することに成功した。これに対し、本年度は放電後の現象(放電開始から1μ秒以後の現象)のモデリングに取り組んだ。放電後の重要な現象として、放電空間中の乱流の発生があげられる。放電後に発生する乱流は、化学反応率に大きく影響する。したがって乱流の制御は、ストリーマ放電を用いた応用技術のエネルギー効率に関係する重要な課題であり、無視することは出来ない。ラン州はは、ストリーマ放電の発生に伴い、放電空間中に微弱な衝撃波が発生することに起因するものであるが、その衝撃波の生成機構は未だ明らかにされていなかった。このような状況に対し、本研究ではストリーマ放電における放電エネルギーの遷移過程に着目し、分子の内部エネルギーの変化まで詳細にモデリングを行うことにより、問題の解決に取り組んだ。その結果、シミュレーションによる放電後の衝撃波の再現に成功した。ストリーマ放電における衝撃波の生成は、放電により陽極近傍のガスが急激に加熱されるために生じる。そしてその加熱は、放電により生成された分子の電子励起種(N_2 (A, B, C), O (D)など)が、放電後にエネルギー緩和を起こす過程により生じることがわかった。またシミュレーション結果より、分子の電子励起種のエネルギー緩和は、放電空間中の空気を加湿することにより加速されることが明らかになった。つまり、加湿空気中では放電エネルギーの緩和速度が加速され、ガスが加熱されやすくなる。このような現象は、現在までに実験的には観測されていたが、物理的な説明は与えられずにいた。以上の結果により、ストリーマ放電におけるガスの加熱現象と、それに伴う衝撃波の発生をシミュレーションで再現するためには、分子の内部エネルギー状態の変化まで詳細に考慮することが必要であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(11 results)