2012 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧マイクロ熱プラズマジェット照射によるa-Si膜の結晶化及びTFT応用
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12J06779
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林 将平 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 熱プラズマジェット / シリコン / 結晶成長 / 薄膜トランジスタ |
Research Abstract |
本年度は、マイクロ熱プラズマジェット照射によるアモルファスシリコン膜結晶化メカニズムを解明することを目的に以下のように研究を実施した。 1.結晶化過程を観察する新しい手法として高速度カメラを用いた直接観察手法を新たに提案した。熱プラズマジェットのような急速熱処理によるアモルファスシリコン膜結晶化の実時間観察手法は、反射率や電気伝導度等の測定により行われてきたが、本研究では高速度カメラを用いて直接観察することで結晶成長の様子を映像により明瞭に観察することができた。これによりシリコンは固液界面に対して垂直に成長し、成長方向を制御するためには溶融領域の形状が重要であることが明らかになった。 2.1の手法により第3の結晶化様式が存在することが明らかになった。これまで実時間反射率測定の結果から熱プラズマジェット照射によりアモルファスシリコンは一旦固相結晶化した後、溶融することが分かっていた。本研究の高速度カメラ観察により、固相結晶化領域と溶融領域の間に4m/s以上の高結晶成長が間欠的に誘起される新たな結晶成長領域が形成される様子が観察された。間欠的高速結晶成長により結晶化されたシリコン膜は波のような周期的な構造を形成することから、この新たな結晶化様式をLeading Wave Crystallization (LWC)と呼び、結晶化メカニズムを詳しく調査した。 3.LWCのメカニズムを調査するために、シリコン膜厚や基板掃引速度を変化させLWCの長さを観察した。その結果、膜厚及び速度増加に伴いLWCの長さが増加したことからLWCには相変化時の潜熱が大きく影響していることが分かった。さらに数値計算を行うことでLWCは、極薄溶融層が固相結晶化領域を高速で進行することで誘起されることが分かった。 以上の結果からマイクロ熱プラズマジェット照射によるアモルファスシリコン膜結晶化過程は明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、熱プラズマジェット照射中のシリコン膜結晶化過程の直接観察手法を確立し、高速度カメラを用いた直接観察により結晶化中の相変化過程を撮影することに成功した。シリコン膜溶融の様子は明瞭に観察され結晶成長方向の制御への指針を得ることができた。また、この観察手法により新たな結晶成長様式が観察され、ミリ秒~マイクロ秒時間領域のシリコン膜結晶化において新しい知見が得られた。よって当初予定していた計画通り順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は9で記載した結果を基に、結晶成長の制御を試みる。観察された3つの結晶化様式は熱プラズマジェット照射条件によって容易に制御することができる。これにより各結晶化様式において結晶化シリコン膜を作製し、結晶サイズ、形状、結晶性、面方位など様々な観点からシリコン膜の評価を行う。得られた結果からデバイス性能向上のために有効な結晶成長様式を見出す。結晶化シリコン膜の評価は主に走査型電子顕微鏡とそれに付属する電子後方散乱回折パターン観察によって行う。結晶性はラマン散乱分光法により評価する。最終的には薄膜トランジスタを作製することでデバイスレベルでの評価を行い、マイクロ熱プラズマジェット結晶化により高性能デバイスの作製を試みる。
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Research Products
(8 results)