2013 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧マイクロ熱プラズマジェット照射によるa-Si膜の結晶化及びTFT応用
Project/Area Number |
12J06779
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林 将平 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 熱プラズマジェット / シリコン / 結晶成長 / 薄膜トランジスタ |
Research Abstract |
前年度において、アモルファスシリコン膜はマイクロ熱プラズマジェット照射により異なる3種類の結晶成長様式により結晶化することが明らかとなった。この3種類の結晶成長様式は膜温度上昇に伴い、固相結晶化(SPC)、Leading Wave Crystallization (LWC)、高速横方向結晶化(HSLC)の順に誘起された。本年度は、これら3種類の結晶成長様式により作製したシリコン膜の結晶構造及び電気特性について詳しく調査し、主に以下の成果を得た。 1. 異なる結晶成長様式により別々に作製したシリコン膜の結晶構造を調査した。SPCにおいては結晶粒径20㎚程度の微結晶シリコン膜が形成され、結晶化率は70%程度であった。一方、LWC及びHSLCにおいては数十㎛を超える長距離結晶成長が誘起され、結晶化率100%の高い結晶性が得られた。LWCは波状の周期的構造で長距離結晶成長が誘起され、HSLCにおいては樹状模様の結晶が形成された。 2. 結晶化前のアモルファスシリコン膜にスリット状のパターンを形成することで、LWCにおいて結晶の位置制御に成功した。スリットにより区切られた領域において結晶は基板走査方向に平行に成長し、50-70㎛の長距離成長が誘起された。 3. 2の手法を用いて位置制御したLWCシリコン膜及び、SPC、HSLCシリコン膜をチャネルに用いた薄膜トランジスタ(TFT)を作製し、結晶構造と電気特性の関係を調査した。1に記述したようにSPC-TFTは小粒径であることからチャネル内に多数の結晶粒界が混入し、電界効果移動度(μ_FE)は2cm^2/Vs程度であった。一方、2の手法により結晶位置制御したLWCとHSLC-TFTにおいては単結晶によるチャネル形成に成功した。この時、どちらのTFTにおいてもμ_FEはnMOSで300㎠/Vsを超える高いμFEを達成した。しかし、LWCは4m/sを超える超高速結晶成長により高い欠陥密度であることから、しきい値電圧及びS値はHSLCに対し劣化した。以上の結果から高性能TFT作製にはHSLCが最も有効な結晶成長様式であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に得られた結晶化メカニズムの知見を基に、LWC及びHSLCにおいて単結晶チャネル形成に成功した。結晶構造と電気特性との関係を調査することで高性能TFT作製に最適な結晶成長様式が明らかになった。また、単結晶チャネル形成においても粒内欠陥密度が異なることでTFT特性に大きく影響することが分かり、今後の研究を遂行する指針が得られたことから当初の計画通り順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
9に記載した結果を基に、HSLCにおいて結晶成長の制御を試みる。HSLCはSPC及びLWCに対し粒内欠陥密度が小さいことからTFTチャネルに用いた際、最も高い性能が期待できる。しかし、依然として結晶粒界や結晶面方位の制御が課題として挙げられる。そこでパターニングを用いた結晶成長制御手法を確立し、長距離単結晶成長の誘起を試みる。また、本年度の成果において、単結晶TFTが形成された場合も粒内欠陥によるTFT特性の劣化が認められたことから、粒内欠陥を低減する手法を調査する。更にこれまで得られた知見を基に、シリコン膜より高い移動度が期待できるゲルマニウム薄膜に注目し、シリコン膜同様に結晶成長を行うことで結晶化ゲルマニウム膜をチャネルに用いた高性能TFT作製を試みる。
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Research Products
(8 results)