2012 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線天文衛星あかりを用いた小惑星帯全域における水氷と含水鉱物の推定
Project/Area Number |
12J06848
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡村 奈津子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小惑星 / 分光観測 / 赤外線天文衛星「あかり」 |
Research Abstract |
太陽系形成過程の環境の情報を得るために、赤外線天文衛星「あかり」(以下、あかり衛星)で観測した小惑星の鉱物組成を調べることが、今年度の大きな研究目的であった。そのために、(1)小惑星21 Lutetiaの分光スペクトル解析、(2)低アルベド小惑星の論文のまとめと投稿、(3)すばる望遠鏡であかりで観測した天体も含む天体を観測、の3つを行った。 (1)複数の鉱物で構成されている小惑星の分光スペクトルデータについて各鉱物のスペクトルの吸収帯の特徴を抽出する作業を、まずは21 Lutetiaという近年注目されている代表的な小惑星の一つで行った。21 Lutetiaは鉄やニッケルのような金属で構成されており分化天体のコアが分裂した破片であると考えられているM型小惑星の一つである。21 Lutetiaに含水鉱物があるか否かは未だ決着がついていなかったので、地球大気の影響を受けない宇宙空間においてあかり衛星を用いて21 Lutetiaの観測を行なった。その結果、含水鉱物によるスペクトルの吸収は存在しないか、存在してもとても浅いということが分かった。これらの結果を(13,研究発表)欄の「学会発表」のように成果を報告した。 (2)昨年度にまとめ始めていた、あかり衛星で取得した70個の低アルベド小惑星上の含水鉱物の有無についてまとめた論文の投稿・リバイズ作業を行った。 (3)2013年1月5目にすばる望遠鏡を使って、新たに低アルベド小惑星のデータを取得した。あかり衛星のデータに加えて、さらに小惑星帯内の広い範囲で、含水鉱物の有無を調べる予定である。現在、解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた研究に加え、すばる望遠鏡を用いて新たなデータを取得した。一方で、小惑星の鉱物組成をするためのスペクトル解析については少し遅れている。この2点を考慮し、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)来年度はより多くの小惑星のスペクトルにおいて、含水鉱物の特徴が分かる波長域の観測データを用いて様々なスペクトルタイプの小惑星の鉱物組成を調べる。もし鉱物があれば、鉱物や隕石のスペクトルとフィッティングを行ない、含水鉱物のスペクトルの形状や吸収帯の深さから小惑星由来の隕石やその小惑星を構成する鉱物を推定する。その結果から太陽系形成過程における制約を与える。 (2)上記の結果を論文としてまとめる (3)すばる望遠鏡で取得したデータの解析結果と議論を、論文としてまとめる。
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