2013 Fiscal Year Annual Research Report
高速シークエンサーを用いたHTLV-1クローナリティー解析
Project/Area Number |
12J06916
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
FIROUZI Sanaz 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 成人T細胞白血病(ATL) / HTLV-1ウイルス / クローナリティー解析 / Integration site 解析 / 次世代シークエンサー / Validation of Methodology |
Research Abstract |
成人性T細胞白血病(ATL)は発症するときわめて予後不良な腫瘍疾患である。その発症の原因はHTLV-1レトロウイルスの感染が原因であることが定義となっている。このことから本疾患はATLという腫瘍とHTLV-1ウイルス感染が密接に関連した複合疾患でありその出力がきわめて予後の悪い薬剤耐性となっている。またこのような腫瘍疾患に関するアプローチは腫瘍のクローナリティーを解析することが重要であるが本疾患はそれをHTLV-1ウイルスのインテグレーションサイトで解析できることが極めて有益なポイントである。そこで本研究では、その発症原因のアプローチとして感染細胞のクローナリティーの解析を通じて、キャリアからATL発症に至る感染細胞の増殖の様態を明らかにする事を目指している。つまり具体的には、HTLV-1キャリアの末梢血中には多数の感染細胞クローンがポリクローナル増殖を示す中で腫瘍的な増殖の始まりを高感度に測定する事が本研究において最も重要な目的である。しかし、従来法ではこのよう解析は不可能であった。従って、この問題を解決する為に、次世代シークエンサーを用いた高感度かつ定量的解析法の確立が絶対不可欠と考えている。そこでその方法論の確立のため本年度はまずバイオインフォマティクス及びイン・シリコ解析. ウェット解析を平行させて行った。バイオインフォマティクス及びイン・シリコ解析としては、スーパーコンピュータにアクセスしパールプログラミング言語を用いてHTLV-1 Integration Siteとクローナリティーの解析用に独自にデザインしたCustomized Programを完成させた。また、ウェット解析においては独自に開発した方法であるIntegration Site Isolation, Tagシステムの有効性を確認する必要があった。従って、現方法論の感度. 特異性. 定量性. 再現性を証明する為、適切なコントロールシステムをデザインした。その結果我々は昨年度これらが全て完全に働く事を証明した。現在その内容をMethodologyとして、Journal of Genome Medicineに投稿し、Minor Reviseになっている状態である。このMethodologyがJournal of Genome Medicineに認められた時点で本格的に、検体を用いた初期の解析を開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、次世代シーケンサーを用いた高感度の解析方法を作成した。昨年度イン・シリコ解析としてはHTLV-1 Integration Siteとクローナリティーの解析用に独自にデザインしたCustomized Programを完成させた。ウェット解析においては独自に開発した方法であるIntegration Site Isolation, Tagシステムの有効性を確認する事が出来た。本年度には計画通り確立したethodologyは完全に動く事を証明し、まとめて論文を作成し、Journal of Genome Medicineに投稿し、Minor Reviseになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度研究計画として、現在Minor revision中のMethodologyの論文がAcceptになる時点で次の段階に進み、検体の解析を開始する。検体の解析はHTLV-1の各病系で調べていくことが極めて重要である。その要点を以下に示す。病系の進行はキャリア、くすぶり型、慢性型、急性型へと進行する。この中でくすぶり型以降はATLと診断される。まずHTLV-1キャリアとATL患者に関して、感染細胞のクローナリティーの視点から解析する。臨床的には、ウイルスロードの高いキャリデと、くすぶり型ATLの区別が問題になっている。更に、比較的予後の良いIndolent ATL(くすぶり型および慢性型ATL)と予後不良のAggressive ATL(急性型およびリンパ腫型ATL))におけるクローナリティーの違いについても検討されていない。このように各病系の境界領域には生物学的にも臨床学的にも極めて重要な要素が含まれているが未だにその変遷の様式およびメカニズムが未解明である。そこで新たに開発した解析系を用いて、これらの課題に取り組む。さらに、作製した解析法用いて、クローナリティーの変遷の病態進行における意義を明らかにし、早期診断や発症予防法開発の基盤となる情報を提供することを目指す。
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Research Products
(2 results)