2013 Fiscal Year Annual Research Report
比較ゲノム解析に基づく陸上植物の日長感知の基本メカニズムの解明
Project/Area Number |
12J06987
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保田 茜 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光周性 / 生長相制御 / 進化 |
Research Abstract |
研究員は、長日植物であることが報告されている苔類ゼニゴケを用いて、概日時計による生長相制御の分子機構の原型と進化を明らかにする研究を進めてきた。まず、被子植物において概日時計から花成の出力系で機能することが知られているGI遺伝子とFKFI遺伝子のゼニゴケにおけるホモログをゲノムデータベースより単離し、MpGIとMpFKFをゼニゴケで単離し、MpGI, MpFKFと命名した。次にMpGI・MpFKFのmRNAの発現リズム解析を行い、両者が概日時計による制御を受けており、類似した発現様式を示すことを明らかにした。さらに酵母ツーハイブリッド法および共免疫沈降によりMpG1とMpFKFがin vivoで相互作用することを明らかにした。そこでMpGI-MpFKF複合体のゼニゴケにおける機能を明らかにするために、MpGIおよびMpFKFのゼニゴケノックアウト株および過剰発現株の作出と表現型解析を行った。その結果、MpGIとMpFKFのノックアウト株ではゼニゴケの長日条件下の生殖器形成が完全に抑制された。反対に、MpGIとMpFKFを恒常的に高発現させた株では、野生株で生殖器形成がみられない短日条件においても生殖器形成がみられた。以上より、MpGI-MpFKF複合体がゼニゴケの長日条件下の生殖器形成に必須であることと、MpGI-MpFKF複合体が生長相転換を促進することが示唆された。さらに、さらにMpGlはシロイヌナズナのgi欠損変異体の遅咲きの表現型を部分的に相補できることを見出した。この発見により、ゼニゴケの生殖器形成とシロイヌナズナの花成は、ともにα遺伝子を介して制御される現象であり、植物は進化の過程で、配偶体(n)世代における生長相制御因子を胞子体(2n)世代に転用した可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(6 results)