2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J06997
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大林 真也 東北大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会的ジレンマ / 流動的関係 / コミュニティ・ユニオン / ゲーム理論 / 信頼 / 寛大さ / 懲罰 / 協力行動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、流動的な社会関係においても人々が協力し合うことができる社会的メカニズムを解明することにある。本年度はこの目的を達成するために2つのテーマに取り組んだ。1つ目は、コミュニティ・ユニオンにおける集合行為問題である。もう1つは、信頼と寛大さのシミュレーション研究である。 1つ目に関しては、3つのコミュニティ・ユニオンのスタッフおよび組合員に聞き取り調査を行った。そこで収集した情報をもとに、数理モデルを2つ作成した。一つは、不完全情報の仮定を組み込んだモデルである。コミュニティ・ユニオンのような流動的な組織では、全員が一堂に会する場がなく、十分に評判情報が流布していない状況であったが、これをモデル化したものである。その結果、不完全情報の場合、明示的なルールや懲罰がなくても協力が維持されることが明らかになった。なおこの研究は神取道宏(東京大学経済学研究科)との共同研究である。二つ目のモデルは、集団に人が加入する場合のモデルである。従来のゲーム理論では、プレイヤーの人数が固定されていたが、変動できるように改良した。その結果、将来的にプレイヤーが増加する場合、懲罰がなくても集団内部の協力が維持されることをしました。 2つ目の信頼と寛大さの研究では、信頼ゲームに、懲罰を抑制する寛大さとマッチングプロセスを組み込んだシミュレーションモデルを作成した。その結果、マッチングの相手が変えられる流動的な関係では、懲罰を抑制する寛大な戦略のほうが有利であることを明らかにした。なおこの研究は、稲垣佑典(統計数理研究所)・瀧川裕貴(東北大学)との共同で行っている。 これらの研究により、次年度に行う統合的な数理モデルの基礎となる、流動性・懲罰・情報のプロトタイプのモデルを構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず1つ目は、本研究のもっとも重要な点である、プレイヤーの人数が変動する場合のゲーム理論モデルのプロトタイプを完成させたことである。2つ目は、コミュニティ・ユニオンの数理的研究において、完全情報の仮定を外すことができたことでる。これら2つの数理モデルの進展により、平成26年度に行う流動的な集団における協力行動の包括的な数理モデルを構築する準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記の「現在までの達成度」に記載した2つの数理モデルを応用して、コミュニティ・ユニオンのような流動的な集団において、協力が達成されるメカニズムを解明することを目標として研究を進める。具体的には、集団の人数の変動に対して、協力の制度が維持されるのはなぜかということに答えるために、プレイヤーの人数が変動するゲーム理論モデルを応用し、コミュニティ・ユニオンの制度を表現したゲーム理論モデルを構築する。それにより、プレイヤーの流動性・懲罰・協力の3つの要因の関係を明らかにし、申請者のこれまでの研究よりも射程の広い包括的な理論を構築することを目指す。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Reputation and Punishment2014
Author(s)
Kandori, Michihiro and Obayashi Shinya
Organizer
Arthur M. Sackler Colloquia of the National Academy of Sciences
Place of Presentation
University of California, Irvine, America
Year and Date
2014-01-10
Invited
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