2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の運命転換における選択的スプライシング制御機構の解析
Project/Area Number |
12J07004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 翔 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 体細胞初期化 / 選択的スプライシング / RNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
近年、体細胞に少数の転写因子を強制発現させることにより、多能性幹細胞を人工的に誘導する方法が開発された。しかし、体細胞初期化現象の分子メカニズムはほとんど分かっていない。そこで、本研究は主に分子生物学や生化学的手法を用いて、体細胞初期化過程における選択的スプライシング制御機構を解明することを目的とする。 これまでの私の研究で、次世代シーケンサーを用いた解析により体細胞初期化前後でスプライシングパターンが変化する数百の遺伝子を同定した。そこで本年度は、これらの遺伝子を元に体細胞初期化過程における選択的スプライシング制御の生理的意義の解明を試みた。まず、数十の遺伝子について、次世代シーケンサーによる解析結果を定量的PCR法によって検証した。その際、デジタルPCR法を用いた遺伝子発現の絶対定量法を確立した。これにより、より正確なスプライシングパターンの定量が可能になった。次に、体細胞初期化前後でスプライシングパターンが変化する遺伝子について、スプライシングバリアントごとに初期化因子とともに体細胞に共発現させ、体細胞初期化に対する効果を検討した。続いて、体細胞初期化過程における選択的スプラシイング制御の分子機構に迫るため、多能性幹細胞に特徴的な選択的スプライシングの制御を担っているRNA結合タンパク質をノックダウンスクリーニングにより探索した。その際、iPS細胞およびEs細胞におけるsiRNAの導入条件を最適化した。さらに、RNA結合タンパク質についてshRNAを設計し、体細胞初期化過程においてノックダウン実験を行い、体細胞初期化に与える効果を検討した。今後は、これらの実験によって得られた結果と合わせて、同定したRNA結合タンパク質がRNA分子に直接結合してスプライシングに関与しているのかどうかを、RNA-IPなどにより検討し、体細胞初期化過程の選択的スプライシング制御の分子メカニズムの解明を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書「研究の目的」に記載したポイントのうち本年度において半数を達成できた。「本年度の研究実施計画」に記載した順とは前後したが、おおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、おおむね順調に研究が進展した。今後も交付申請書の「研究の目的」にしたがって研究を進め完成させる。
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Research Products
(1 results)