2013 Fiscal Year Annual Research Report
高配向ナノチューブとグラフィン結合技術を用いた超軽量高強度カーボン材料の創製
Project/Area Number |
12J07007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西坂 光 東北大学, 大学院環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高配向カーボンナノチューブ / カーボンナノチューブ繊維 / グラフィン面間の結合 / 引張強度 / フッ素化・脱フッ素化 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(carbon nanotubes : CNTs)間の滑りを抑制し、マクロスケールCNT材料の機械特性を向上させることが本研究の目的である。フッ素化によってCNTsのsp^2炭素原子をsp^3に変化させ、続く脱フッ素化によって生じるダングリングボンドを結合させてグラフィン面間の結合を試みる。本年度は、前年度に確立した「高配向多層カーボンナノチューブ(multi-walled carbon nanotube : MWCNT)繊維の作製手法と不確かさ評価による繊維比強度の算出手法」を基にして、「高配向MWCNT繊維のフッ素化」、「フッ素化MWCNT繊維の圧縮処理」、「フッ素化・圧縮MWCNT繊維の脱フッ素化」、「フッ素化・圧縮・脱フッ素化MWCNT繊維の引張試験」を行った。脱フッ素化温度が600℃以上においてMWCNTs間の滑りが抑制されることを明らかにした。しかし、フッ素化・脱フッ素化によってMWCNT繊維の引張強度は低下した。ここで、過剰のフッ素原子が付加した場合にMWCNTsの構造が破壊することを明らかにしており、これがMWCNT繊維の引張強度を低下させた原因だと考えられる。フッ素化温度を低下させることでMWCNT繊維のフッ素含有率を低下させることができ、MWCNTs構造の破壊を抑制してフッ素化することを可能にした。フッ素化・脱フッ素化によるMWCNTs構造変化に関する結果は、MWCNTs本来の特性を維持したままMWCNTs間の滑りを抑制するための重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高配向カーボンナノチューブ繊維のフッ素化・脱フッ素化を実行し、ナノチューブの構造と繊維の引張強度の評価によって機械特性の向上のための指針を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
フッ素化・脱フッ素化後の多層カーボンナノチューブのグラフェン層構造の破壊という問題に対し、層構造を破壊しないフッ素化・脱フッ素化手法を構築する。また、マクロスケール材料の機械特性向上において最重要事項である「多層カーボンナノチューブ間の滑り抑制のメカニズム」を解明する。
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Research Products
(3 results)