2012 Fiscal Year Annual Research Report
STAT3遺伝子変異に起因するアトピー性皮膚炎発症機序の解明と新規治療法の開発
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12J07012
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
齋藤 雅子 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | STAT3 / アトピー性皮膚炎 |
Research Abstract |
STAT3異常症(高IgE症候群の1つであり、STAT3のドミナントネガティブ(DN)変異を有する)におけるアトピー性皮膚炎発症のメカニズムを検討する目的で、ヒトSTAT3異常症の遺伝子異常を再現したモデルマウス(STAT3-DNマウス)を作製した。このSTAT3-DNマウスは、SPF環境下では皮膚炎の自然発症は起こらなかった。そこでSTAT3-DNマウスにハプテン反復塗布により皮膚炎を誘発させたところ、野生型マウス(WTマウス)と比較して有意に皮膚炎の増悪が認められた。次に、Oxazoloneを反復塗布した耳に浸潤している細胞数を評価した結果、STAT3-DNマウスではWTマウスと比較して、CD4陽性T細胞、好酸球、好塩基球の有意な増加が認められた。また、Oxazolone塗布したSTAT3-DNマウスの皮膚ではTh2アトラクティングケモカインであるCCL17やTh1アトラクティングケモカインであるCXCL9、また、IFNγやIL-4の有意な発現上昇が認められた。そこでこれらのケモカインやサイトカインはどの細胞が発現しているのかを検討したところ、CCL17は主に樹状細胞、CXCL9はCD45陰性の非血球系細胞、IFNγはT細胞、そしてIL-4は好塩基球でその発現レベルが高いことが分かった。さらに、Oxazolone塗布後の血清IgEレベルを測定したところ、STAT3-DNマウスではWTマウスと比較してOxazolone特異的IgEの優位な上昇が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STAT3-DNマウスにハプテン反復塗布により皮膚炎を誘発させたところ、アトピー性皮膚炎に類似した皮膚炎の発症を認めた。また有意な浸潤細胞や発現因子の増加が得られたことから、これらを手がかりとして、原因細胞の候補を絞ることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Oxazolone塗布により誘導されるSTAT3-DNマウスの皮膚炎増悪に関与する細胞あるいは因子を同定するために、細胞特異的にSTAT3-DNを発現するマウスを用いて、同様に皮膚炎を検討していく予定である。
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