2013 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋熱帯・亜熱帯における浮遊性カイアシ類の多様性と地理分布
Project/Area Number |
12J07024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 惇也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カイアシ類 / 太平洋 / 多様性 / 地理分布 / メタゲノム解析 |
Research Abstract |
浮遊性カイアシ類は海洋の食物網や物質循環において重要な役割を果たす分類群であるが、形態分類による律速により広範囲に及ぶ群集構造の知見は限られていた。そこで、本研究では, 前年度までの研究により、分子生物学的な手法を用いたカイアシ類の群集構造解析のためのメタゲノム解析の手法を確立した。本年度はそのメタゲノム解析を用いることで、知見が少なく形態分類も困難である太平洋熱帯・亜熱帯におけるカイアシ類の多様性や生物地理を把握することを目的とした。 確立されたメタゲノム解析手法を用い、広範囲の太平洋熱帯・亜熱帯におけるカイアシ類の群集構造の解析を行った。試料は黒潮域3点、北太平洋亜熱帯循環域8点、南太平洋亜熱帯循環域5点、赤道域3点の計19測点の表層(0-200m)で、VMPSネットを用いて採取した。第二世代シーケンサーRoche 454 FLXによる解析により、エラーの除去後、434,304の28S配列を得た。この遺伝子配列は、前年度の研究から最適であると判断された97%の相動性から、便宜的な種である404のMOTUsに分類された。群集構造のクラスター解析により黒潮内側域は他の測点と異なる群集構造を示した。黒潮流軸・外側域は赤道域と高い類似度を示し、南北亜熱帯循環域は互いに類似した群集構造を示した。各MOTUの分布パターンを調べたところ、黒潮―赤道域、南北亜熱帯循環域に分布の中心を持つ2つの主なグループが検出された。環境要因との比較から、これらの分布パターンはクロロフィルa濃度の差が関係することが示唆された。多様度性は南北太平洋亜熱帯域で高く、特に北太平洋亜熱帯循環で最大値が観察された。これらの地域では多様な分類群が観測されたことから、多種の棲み分けにより多様性が維持されていると考えられた。今後はさらに広域に渡る試料が解析されることで、全球規模のカイアシ類の多様性や地理分布を解明が解明されることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(1 results)