2013 Fiscal Year Annual Research Report
さまざまな細胞種の細胞シート作製を実現する次世代型温度応答性培養基材の開発
Project/Area Number |
12J07141
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松坂 直樹 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 温度応答性表面 / RAFT重合 / 金ナノ粒子 / ポリマーブラシ細胞接着 |
Research Abstract |
本研究では、種々の組織由来の細胞に対し細胞シートを調製しうる新規温度応答性高分子ブラシ表面の設計とその表面上での細胞応答を通じ、表面設計指針を明らかにすることを目的とする。本年度では特定の波長を吸収することで光熱効果を示す金ナノ粒子の表面にPIPAAmを修飾し、それをガラス基板上に固定化することで光熱効果を利用した温度応答性細胞培養基板の作製を目指す。金ナノ粒子は塩化金酸およびクエン酸ナトリウムを用いて合成し、25~30nmの粒径を有する粒子を作製した(AuNP)。続いて、末端チオール化したPIPAAm (M_n : 1.5x10^4, M_w/M_n : 1.21)を金ナノ粒子含有水溶液に溶解することで、PIPAAm修飾金ナノ粒子(PIAuNP)を作製した。作製したPIAuNPを表面にアミド基を有するガラス基板(APTES固定化基板)上に固定化し、PIAuNP固定化基板を作製した。作製した基板はATR/FT-IR測定より基板上にPIAuNPが固定化されていることを確認し、水中気方法による静的接触角測定より低温では親水性、高温では疎水性を示すことを確認した。また、ウシ頸動脈由来血管内皮細胞を播種して37℃で培養したところ、APTES固定化基板と同等の細胞が接着した。最後に細胞の接着した基板を20℃に静置したところ、PIAuNP固定化基板では、低温培養1hで約50%以上の細胞の脱着を確認した。以上の結果から、金ナノ粒子を有する温度応答性細胞培養基板を作製できた。今後、基板に特定の波長の光を照射した状態でPIPAAm鎖のLCST以下の温度で培養することで、光熱効果によって細胞をパターン上に接着させることを目指す。これは光を照射した部分のみに細胞を接着させ、2種類以上の細胞による共培養細胞シートを作製でき、様々な細胞種に応じた表面設計の指針を議論することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は金ナノ粒子を固定化した温度応答性細胞培養基板の作製し、温度による細胞の接着・脱着挙動について検討を行った。その結果、固定化する金ナノ粒子の粒径、PIPAAmの分子量、PIPAAm修飾金ナノ粒子の固定化方法を決定することができた。この結果は、細胞の接着・脱着挙動に関連しており、今後光熱効果を用いたパターン化細胞培養を目指す上で必要な情報となることから、計画は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、PIPAAm修飾金ナノ粒子固定化基板を作製できることが示された。今後は光熱効果による細胞の接着挙動について検討する必要がある。具体的には、特定の波長の光を照射可能な光源を用いて、LCST付近の温度で培養した際に、光のOn/Offによって細胞の接着挙動に違いが生じるかを検討する。その際に光を照射しながら培養する条件を整える必要がある。対応策としてはホットプレートを用いる方法、光源を培養装置内に設置する方法が挙げられる。そのため、実験の進捗状況を踏まえて、以上の方法で対応する予定である。
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Research Products
(8 results)