2012 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアにおける慣習的指導者の役割-先住民運動と地域間の歴史的関係の再編から
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12J07175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石橋 弘之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地域研究 / 先住民運動 / 慣習的資源管理 / 森林地域 / 社会変化 / 国際情報交換 / カンボジア / カルダモン山脈 |
Research Abstract |
本研究は、カンボジア西部森林地域カルダモン山脈各地の慣習的指導者たちが、現代カンボジアの社会変化のなかで、地域社会の生活、慣習の維持・適応・再興に果たす役割の課題と可能性の解明を目的とする。具体課題では、(1)先住民運動の全国ネットワークと地元活動の関係性、(2)地域社会に影響を与える政策や外部アクターと住民の関係、(3)慣習的指導者の影響力と社会的承認をめぐる過程、(4)地域の問題対応における慣習制度と公的制度の関係、(5)地域間の歴史的交流の実態と再編の動きを検討する。 今年度は、課題(1)、(2)、(4)、(5)に関して、平成24年6月17日、第22回日本熱帯生態学会にて、「カンボジア西部の保護区における慣習的資源利用の課題と対応―カルダモンの森の地図作成の過程からの検討」の題目で口頭発表を行った。 また、Mapping Historical Change of Cardamom Forest Distribution in Cambodiaと題した記事を、カンボジアの現地ニュースレターCambodia NTFP Working Group News Letter, Forest, People and NTFPs No 09 January-June, 2012にて出版した。 さらに、課題(3)、(4)について、英語論文の草稿を現地関係者と協議・承諾を得て、国際ジャーナルWorldviews : Global Religions, Culture, and Ecologyに投稿した。 加えて、2013年1月5日~3月30日にカンボジアに渡航、近年の土地政策の森林の利用慣習への影響、および先住民共有地登記の過程について聞き取り調査、文献収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究課題の初年度にあたるが、複数の具体課題に対して、口頭発表に加えて、カンボジア現地関係者向けにニュースレターを出版し、さらに国際ジャーナルへの論文を投稿することができたので、おおむね順調に研究を進展させることができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年までの研究成果、現地調査を踏まえて博士論文の構成とフレームワークを策定する。博士論文の完成に向けて文献のレビュー、現地調査結果のデータの分析を中心に行い、ゼミでの議論を通じて博士論文の草案を精緻化させる。必要に応じて1回の補足調査をカンボジアで行う。 国際ジャーナルWorldviews : Global Religions, Culture, and Ecologyに投稿中の原稿については、論文査読者との議論を通じてアクセプトを目指す。再査読が必要な場合は、修正内容をカンボジア現地関係者に確認した上で、再投稿を行う。
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Research Products
(2 results)