2012 Fiscal Year Annual Research Report
EphA2受容体の新たなシグナル伝達機構の解明とがんの浸潤・転移への関与
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12J07194
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 耕平 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞生物 / がん |
Research Abstract |
チロシンキナーゼ受容体の一つであるEphA2は浸潤・転移性を示すがん細胞において高発現しており、がん化促進への関与が指摘されている。所属する研究室では、細胞運動・接着に関与しているRhoファミリー低分子量G蛋白質Rh(6に着目し、EphA2のがん化促進メカニズムの解析を行っている。以前我々はEphA2がRhoGの新規活性化因子Ephexin4を介してがん細胞の運動性・浸洞性を促進していることを明らかにした。しかしEphA2、Ephexin4、RhoGはがん細胞だけなく上皮組織由来の細胞株においても発現が確認されていることから、本研究ではがん化促進シグナルを抑制する分子機構の解明を目的として実験を行っている。まずEphexin4制御因子を特定するため、RhoG結合領域外で結合する蛋白質の探索を行い、Scribbleという蛋白質がPDZドメインを介してEphexin4のC末端に結合することを明らかにした。Scribbleはがん抑制因子として働くことから、IEK293丁細胞においてEphexin4と共発現させ運動性への影響を調べた。その結果Ephexin4による運動促進作用はScribbleの発現により抑制されることがわかった。次によりvivoに近い系で機能を評価するため、イヌ尿細管由来のMDCK細胞を用いた三次元培養法による解析を行った。MDCK細胞は細胞外マトリックス蛋白質に富んだ環境で培養することにより、Cystと呼ばれる、中に管腔を持つ球状構造を形成する。この手法を用いてScribbleとの結合能を欠失させた変異体、Ephexin4-ΔCを発現させたMDCK細胞を培養したととろ、Cyst構造に異常が見られた。さらにCyst形成・維持におけるEphexin4の役割を調べるため、Tet-offシステムを用いて現在実験を行っている。Tet-offシステムでは、ドキシサイクリンを培地に添加することによりCyst形成途中でも容易に蛋白質の発現抑制が可能となる。また内在性のEphA2、Ephexin4、あるいはScribbleをノックダウンしたmCK細胞も作製しており、運動性やCyst形成・維持への影響についても検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Ephexin4の活性制御因子の候補の一つとして、Scribbleを同定する事ができた。またEphxin4の機能に与える影響の解析として、transwell migration assayや三次元培養を行い、活性制御因子である事を示す一定の結果が得られた。しかしEphA2との関与を検証する実験を予定していたが、本年度はできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ScribbleのEphexin4活性制御因子としての機能を調べていく上で、ephrin刺激を加えてみるなどEphA2との関係性についても解析を進めていく。またtranswell migration assayだけでなくwound-healing assayを行い、より具体的に運動性を評価していく。
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Research Products
(1 results)