2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J07202
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
藤村 卓也 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金ナノ粒子 / 有機無機複合体 / ポルフィリン / 無機層状化合物 / 粘土鉱物 / 光増感反応 / 電子移動 / 配列制御 |
Research Abstract |
今年度は合成および購入したポルフィリンの①基本的な光化学的挙動や電位の観察、②ポルフィリン軸配子がナノシート上における金ナノ粒子の析出状態に与える影響の観察を行った。①の結果、比較的還元電位が高く、光反応に向け十分な寿命を持っZnTMPyPを選択した。続いて②の検討を行うため、ZnTMPyPの軸配位子として、金ナノ粒子と相互作用し得る官能基を持つエチレンジアミンと、相互作用が少ないトリエチルアミンを選択した。これらの軸配位子存在下において、光増感テンプレート還元法を行ない、軸配位子が金ナノ粒子の析出状態に及ぼす影響を観察した。エチレンジアミンを軸配位子として用いた場合、1,9±0.2㎚の金ナノ粒子が高密度にナノシート表面に析出していた。一方トリエチルアミンを用いた場合、金ナノ粒子の粒径は7,4±2.0㎚であり、粒径が大きく、粒子同士も不均一であった。またエチレンジアミンを用いた際、金ナノ粒子は選択的に界面に析出し、液中で過剰に成長した金ナノ粒子は観測されなかった。この様に軸配位子は金ナノ粒子の生成状態に影響を与え、金と相互作用する官能基を導入した場合、ナノシート界面において選択的、かつ高密度で微細な金ナノ粒子が担持する事を見いだした。この方法は選択的に界面でナノ粒子をさせる事ができ、半導体表面などの修飾方法として期待できる。また興味深い事に、生成した金ナノクラスターの平均中心間距離は2.8㎚であり、粘土ナノシート上に吸着したZnTMPyPの平均中心間距離(2.4㎚)と近い値であった。これはある程度、金ナノ粒子の析出状態がポルフィリンの吸着構造を反映しているためと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年はカチオン性金属ポルフィリンのZnTMPyPを用いた複合体による光増感テンプレート還元法を行なった。研究計画においては本年度において金ナノ粒子の配列を達成する予定であったが、明確な配列構造を構築できた訳ではない。しかしながら現在、軸配位子を用いる事で選択的に非常に微細な金ナノ粒子を、高密度で生成する事を見いだしており、配列に向けた足がかりは掴んでいると考える。来年度は金ナノ粒子生成のメカニズム解明や、触媒活性などを測定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回は水溶性を重視し、比較的自由度の高い軸配位子を用いた。明確に構造を反映しなかった理由として、この自由度に基づく揺らぎが考えられる。そこで剛直な軸配位子を用い、光増感テンプレート還元法を試みる。様々な軸配位子を試し、配列構造の構築、ならびに金ナノ粒子生成メカニズムの解明を行なう。 また、機能性評価として、触媒活性の測定を行なう。触媒能を評価する反応として、現在はベンジルアルコールの酸化反応について、検討していく予定である。進んではポルフィリンと金ナノ粒子両方を触媒として用いた、部位選択性の高い、あるいはone-pot合成に向けた触媒開発の検討を考えている。
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Research Products
(6 results)