2012 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚刺激の重畳による,超解像触覚インタフェースの開発
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12J07234
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 達馬 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触覚インタフェース / 振動触覚 |
Research Abstract |
本研究は現在、交付申請書記載の研究段階の内、(I)解析を用いて,重畳した微小振幅振動の周波数が上昇するメカニズムを解明する段階にある. 研究指針に沿って有限要素指モデルを開発し,複数振動刺激を皮膚に印加した際の皮膚変形解析を行った. 解析結果から振動刺激を重畳した場合には,その境界において高周波振動が生じており,その空間的分布は単に高周波振動を皮膚に印加する従来手法では達成できない,本振動重畳手法特有の分布パターンを生じることが明らかとなった. また本手法特有の高周波振動の分布パターンが,従来の単一の振動子で振動を提示する手法よりも局所的で急峻であり,心理物理実験結果からヒトにシャープで鮮明な触感を与えることが明らかとなり,形状提示やその他の触覚提示手法への応用の有効性が示された. 複数振動の重畳手法に影響を与えるパラメータの調査を行い,振動の空間的な分布,振動間の位相のズレ,振動の周波数等のパラメータとヒトの振動知覚閾値との関係を明らかにした.この知見は,本手法を触覚デバイスに応用する際や,現象のメカニズムを考察する上で重要な,超解像触覚技術の基盤となるものであり価値が高い. また解析結果から,複数振動刺激を近接して提示する際には,刺激子の構造と皮膚の接触状態に起因する非線形フィルタリング効果が存在することが新たに発見された. この非線形フィルタリング効果は,実際に入力した周波数とは異なる高周波数の振動の発生を可能にしており,複数振動刺激を重畳する際に発生する本質的な現象であるといえる. さらに本年度は近接した複数振動面による入力刺激と皮膚変形との非線形関係を定式化し,(II)メカニズムを応用して,アレイ状の振動子を用いて触覚刺激を呈示する超解像触覚インタフェースと,超音波放射圧を用いて触覚刺激を呈示する超解像触覚インタフェースを開発する段階の足掛かりを作った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計通り,解析段階,分析段階,心理物理実験によるパラメータ同定段階と,各段階ともに期待していたデータを得ることができた.さらに現象の定式化に至り,応用段階への足掛かりとして申し分ない成果を得ることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は前段階で得た,現象の本質的な知見をもとに,他の触覚提示手法への応用可能性を探る.具体的には超音波振動子アレイによる非接触の触覚提示手法への応用を考えている.振動を提示する媒質が空気の粗密(音響放射圧)となり,従来の複数振動提示と機械的特性が異なるため,知見の応用に未知の困難が予想されるが,理論的・解析的に応用可能性を探る.
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Research Products
(2 results)