2013 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚刺激の重畳による,超解像触覚インタフェースの開発
Project/Area Number |
12J07234
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 達馬 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触覚インタフェース / 振動触覚 |
Research Abstract |
本研究は現在、交付申請書記載の研究段階の内、(I)解析を用いて, 重畳した微小振幅振動の周波数が上昇するメカニズムを解明する段階にある. 研究指針に沿って有限要素指モデルを開発し, 複数振動刺激を皮膚に印加した際の皮膚変形解析を行った. 指モデルは計算の簡単のため, 皮膚の引き連れ効果を再現できる物性の異なる4層構造とし, 得られるデータから定性的な皮膚変形の傾向を観察した. 解析結果から振動刺激を重畳した場合には, その境界において入力周波数とは異なる高周波振動が生じており, その空間的分布は単に高周波振動を皮膚に印加する従来手法では達成できない, 本振動重畳手法特有の分布パターンを生じることが明らかとなった. 本手法特有の高周波振動の分布パターンは, 従来の単一の振動子で振動を提示する手法よりも局所的で急峻であることから, ヒトの振動知覚領域(振動のぼやけ)に影響を与えるものと推察された, そこで, 振動の知覚領域を振動提示手法別に心理物理実験を用いて調査した. 結果, 振動重畳手法は知覚領域が狭く鋭い, シャープで鮮明な触感をヒトに与えることが明らかとなり, 形状提示やその他の触覚提示手法への応用の有効性が示された. また振動重畳手法の確立ため, 手法に影響を与えるパラメータの調査を行い, 振動の空間的な分布, 振動間の位相のズレ, 振動の周波数等のパラメータとヒトの振動知覚閾値との関係を明らかにした. 特に振動間の位相を制御することで, ヒトの振動知覚閾値(感覚量)を制御できることを示した. この位相制御手法の開発により, 複数振動子の位相を段階的に調整し, 触覚像を選択的に提示することに成功した. これらの知見は, 本手法を触覚デバイスに応用する際や, 現象のメカニズムを考察する上で重要な, 超解像触覚技術の基盤となるものであり価値が高い.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り, 現象の定式化, デバイスの開発を行い, 各段階ともに期待していた以上のデータを得ることができた. 今後のデバイス開発に向けた検討も進めることが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終段階として, 接触型デバイスの大型化を行う. これに際して配線問題や熱問題などクリアするべき課題は多く, 単純に大型化が図れるわけではない. さらに, 培った理論を空中超音波デバイスに応用するために, 既存の超音波デバイスを再設計し, 高周波に対応した触覚デバイスを開発する. これらデバイスを用いて, 形状提示実験を実施し, 複雑な形状を平易に認知できるという知見を得たい.
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