2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J07288
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中林 紀之 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピントロニクス / スピン軌道相互作用 / スピン・電荷輸送 / スピン起電力 / ゲージ場 |
Research Abstract |
局在スピンのダイナミクスおよびスピン軌道相互作用によって駆動される電流について、従来の逆スピンホール効果による電流生成に代わり、有効的な磁気モノポールと、磁化流に対するアンペール則によって電流が生成される、というシナリオが最近提案された。しかし、理論と実験との定量的比較などによるこのシナリオの検証はまだなされていない。本研究では、駆動場などの異なるいくつかの系について有効磁気モノポールおよび電流を求めることにより、いままで逆スピンホール効果によると考えられてきた現象を、上と同様に有効磁気モノポールによって理解が可能であることを確かめることを目標とする。この有効磁気モノポールを見積もるためには、駆動場によって生じる有効場の解析が必要である。 本年度は、金属強磁性体において、ラシュバ型スピン軌道相互作用により生じるスピン電磁場を、それによって引き起こされる伝導電子の輸送現象の理論的解析を行うことにより見積もった。特に、スピン依存不純物を考慮しない場合について考えた。得られた有効電磁場は、通常の電磁場と同様にU(1)の対称性を持ち、ラシュバ場によって電子が獲得する位相によって記述されることが分かった。このラシュバ場によって獲得する位相は、電子が磁化構造によって獲得するベリー位相に対応するものであり、ベリー位相を拡張するものである。この両者には幾何学的な性質の差異があり、これによってベリー位相による効果では見分けることのできなかった磁化構造の違いを区別することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定ではスピン依存不純物を考慮した場合についても結果を出す予定であったが、その段階に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はスピン依存不純物を考慮したスピン電磁場の解析を行っていく。
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Research Products
(2 results)