2012 Fiscal Year Annual Research Report
駆動する鏡面を用いた高速視線制御システムとその応用に関する研究
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12J07304
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥村 光平 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ビジュアルサーボ / トラッキング / コンピュータビジョン / 拡張現実感 / 計測 |
Research Abstract |
交付申請書提出段階では「高速視線制御システムを用いた高速照明制御」を主な目標研究としていたが,その後博士論文を執筆する上で,より包括的な研究目標の必要性を実感し,「動的物体に特化した撮像・投影の枠組み形成」を研究目標とした. まず,スポーツ中継で人間に分かりやすいシーン提示を目的とするアプリケーション『1msオートパンチルト』を提案した.これは,サッカードミラーユニットに画像処理用の高速ビジョンとFull HDの映像記録用カメラを同軸に設置するものである.本アプリケーションでは,スポーツゲームにおいて激しい速度変化を伴うボールや特定選手が,常に画角内に収まるような映像を提示する.物体認識には,HSV色空間をスレッショルドとする色認識を用いた.加速度に対する頑健性を評価するため,対象位置を入力,視線方向を出力として,周波数応答を測定した.その結果,遮断周波数や位相が90[deg]遅れる周波数は,先行研究に対して10倍近く向上した.また,実際にスポーツ応用を想定し,卓球のラリーゲームを撮影する実験を行った.速度ベクトルが反転する打ち返しや卓上での跳ね返り時など大きな加速度がかかる場面についても,安定で継続的なFull HD画質での映像記録をすることに成功した. また,当初の目標研究にあたる,動的物体への投影型拡張現実感アプリケーション『るみぺん』を提案した.近年プロジェクタを用いた拡張現実感の研究が盛んであるが,投影する対象は主に静的であった.一般的なプロジェクタとビジョンセンサのみから成るシステムでは,対象が動的である場合,投影画像との時間幾何学的整合性を取ることが困難であった.そこで,サッカードミラーユニットに高速ビジョンとプロジェクタを同軸に設置することで,本問題を解決した.さらに,画像の投影にかかわらず,第4章で述べた1msオートパンチルトの物体認識アルゴリズムを適用できるように,事前に行うキャリブレーションデータを用いたアルゴリズムを提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験などがおおむね順調に進み,当該年度の最終目標である博士論文の執筆を終え,博士号を取得できた.弛まぬ努力の成果と考えられる.また,学会奨励賞や優秀発表賞などの受賞にも至った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後とも,高速視線制御システムを用いた応用研究に従事していく,具体的には,以下三点の研究に着手していく予定である. 1)映像として計測対象にすらならなかった準音速の飛翔体の映像計測を行っていく.予備実験としてはすでに成功しているが,解像度がいまいちなので,ハードウェアなどの改善が見込まれている. 2)博士論文の核となった投影型拡張現実感に関する研究を継続する.現在のシステムには迷光の影響を無視しているため,頑健性に欠けているといえる.すなわち,より頑健なアルゴリズムを構築する. 3)スポーツのボールなど,素早くランダムな動きをする物体のターゲットトラッキングを,任意の外部環境で頑健に扱えるようにすることを目指す.具体的にはアルゴリズムの改善を目指す.
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Research Products
(5 results)