2013 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞核初期化促進方法の開発によるクローン動物作出効率の改善
Project/Area Number |
12J07319
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺下 愉加里 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 体細胞クローン胚 / 細胞骨格 / Cytochalasin B / Latrunculin A / ヒストン修飾 / 染色体分配 / 胎盤構造 |
Research Abstract |
平成24年度の研究により、核移植直後に偽極体が放出を防ぐために、従来使用されてきたCytochalasin B (CB)の代わりにLatrunculin A (LatA)を用いることが有効であることを明らかにした。そこで、このLatAを用いて開発した新規核移植胚作製法により産仔までの発生率が向上した原因を、エピジェネティックな観点および非エピジェネティックな観点から解析した。はじめに、クローン胚で異常が知られているヒストン修飾領域、DNAメチル化状態によって変化することが知られている胎盤の構造および重量を、LatA処理クローン胚とCB処理クローン胚において比較した。その結果、これらのクローン胚に特有な異常は、LatA処理胚においても観察され、CBをLatAに変更した新規核移植法によって改善されていないことが分かった。次に、エピジェネティック修飾とは直接的な関係性のない細胞骨格状態に着目した。着床後の発生に関わる1細胞期から8細胞期までの染色体分配状態をライブセルイメージングで観察したところ、CB処理クローン胚と比較して、LatA処理胚では染色体分配異常の出現頻度が著しく低下しており、受精胚における出現頻度と同レベルになっていた。さらに、ヒストン修飾異常H3K9me2をヒストンメチル化阻害剤を用いて受精胚に近づけても、クローン産仔率は向上せず、エピジェネティック異常のすべてが産仔までの発生率に影響しているわけではないことを示した。以上の結果より、新規核移植胚作製法によりクローン産仔率の向上に成功した主な原因は、エピジェネティックではない異常の改善に因るものであったと考えられ、今後、エピジェネティック異常に偏らず、非エピジェネティックな観点からもクローン胚の異常を見つけていくことが、体細胞クローン動物の作出効率を実用化レベルまで向上させるために必要であり有効であることを示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(1 results)