2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノインプリントにおける樹脂流動挙動の解明とロールナノインプリントへの応用
Project/Area Number |
12J07387
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
海野 徳幸 東京理科大学, 基礎工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | μ-DHPTV / ナノインプリント / UV硬化性樹脂 / 離型処理 |
Research Abstract |
本研究では、リアルタイムに3次元的流動場を可視化できる技術であるMicro digital Holographic particle tracking velocimety(micro-DHPTV)を用いて、ナノインプリントモールド内における樹脂の微小領域流れを把握し、ナノインプリント時の転写欠陥の原因解明とその解決を目指すことを目的としている。本年度は、UVナノインプリント圧着過程における光硬化性樹脂の流動の様子を捉えることを目的とした。特に、モールドに施されるフッ素系シランカップリング剤による処理に着目し、樹脂流動に及ぼす影響を調べた。モールド側には本来ナノパターンが刻まれるが、流動のパターン依存性を除外するために平坦なガラス基板を用いた。まず、ガラス基板を純水にて超音波洗浄を行って乾燥させた。純水洗浄後そのまま用いる基板を親水性基板と呼ぶ。一方で、純水洗浄後にフッ素系シランカップリング剤による処理を行った基板を疎水性基板と呼ぶ。DHPTVによる圧着時観察実験の結果、上下面を親水性基板とした場合と、上面を疎水性基板かつ下面を親水性基板とした場合では、圧着軸方向の速度分布に違いがあることが明らかになった。更に、今回の用に系全体が動く場合にも、DHPTVは有用な計測手法であることを示した。また、熱ナノインプリント時の熱可塑性樹脂の流動可視化に向けてポリエチレンテレフタレート基板上にナノプリント法により微細金パターンを配置後、PET基板を熱変形させた場合に金パターンが破壊されないかを調べた。実験の結果、微細な金パターンであれば引っ張り加工を行っても微細金パターンは変形しないことがわかり、熱ナノインプリント時の標点として使用できうることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノインプリント圧着時の瞬間を捉えるのに最も難しいことは、数十ミリ秒の精度で撮影開始時刻を制御する必要があることであった。今回、ナノインプリント装置全体の制御系を見直し、荷重値制御トリガーとしたことでこれを克服し、基板間の内部流動を可視化することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果により、ナノインプリント圧着時の瞬間を的確に捉える系を構築することができた。今後は、樹脂流動場のパターン依存性や、樹脂粘度による流れの違いなどを明らかにしていきたい。一方で、モールドに施される離型処理は転写回数を重ねると劣化することが知られている。この劣化の影響を明らかにするため、予め転写し劣化させた基板を用いての流動場観測も必要であると考えている。
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Research Products
(3 results)