2013 Fiscal Year Annual Research Report
ジャン=ジャック・ルソーにおける地方性の文学的・政治的反響
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12J07406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 山人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 18世紀フランス啓蒙主義 / ルソー / 都市と地方 / モード |
Research Abstract |
平成25年度は研究指導委託により、フランス・パリ第7大学のヤニック・セイテ准教授のもとで研究作業を行った。筆者の研究は、18世紀啓蒙期の思想家ジャン=ジャック・ルソーの著作における地方主義的な色彩が、彼の政治哲学的あるいは人間学的な思想とどのように関係しているのかを明らかにしようとするものである。このために、今年度は特に大都市と地方がモード(流行)を介していかなる地政学的な緊張関係を描き出しているのかを分析した。その成果は、東京大学大学院総合文化研究科の『超域文化科学紀要』に掲載された学術論文に集約されている。この研究作業を進める過程で助言・指導をいただいた、ヤニック・セイテ准教授だけでなく、パリ第7大学名誉教授のピエール、シャルチエ氏やパリ・ソルボンヌ大学教授のジャック・ベルシュトルド氏も筆者の研究内容の独創性を評価しているように、ルソーの思想とモードとの関係はこれまで考察されることのなかったテーマである。実際、ルソーの道徳思想とモードに彩られたパリの都市文化とは、これまで対立関係にあるものとして語られて来たが、筆者の研究によって、両者には共犯的な要素があること、そして、同時代のフランスにおいて流通していたルソーの著名作家としての形象は、このような共犯性の上に成立していることを提示した。この研究に加えてさらに、ルソーの著作における衣服と身体のテーマを題材として、2014年2月にパリ国際大学都市で行われたコロック「身体の定義と構築」において、フランス語による口頭発表を行った。この研究は、言語のモードだけでなく、衣服のモードもまたルソーの人間学的な思想において重要な意味を担っていることを明らかにしたものである。この成果は、2014年中にフランスにおいて研究論集として出版される予定であり、国際的な研究成果としても評価されるものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つには東京大学大学院総合文化研究科の学術誌である『超域文化科学紀要』に査読を経た論文を掲載することができたことが挙げられる。また、フランス・パリ国際大学都市で行われた国際コロックにおいて、フランス語による口頭発表を行うことができたことも、自分の研究の順調な進捗を示していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきたルソーのスイス・地方表現に関する研究を、今後は、彼の同時代人であるルイ=セバスチアン・メルシエが注目していたような「新造語」と関連づけて分析することが一つの課題として挙げられる。また、18世紀のパリの都市文化とその内部における言語のモード・流行との関係を明らかにするために、デュクロの『風俗の考察』などをさらに詳しく参照する必要があると考えられる。
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Research Products
(2 results)