2012 Fiscal Year Annual Research Report
トラフグ脂質代謝制御因子としての成長ホルモンの機能解析
Project/Area Number |
12J07423
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 雪 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Takifugu rubripes / 脂質代謝 / 成長ホルモン |
Research Abstract |
魚類では主要な脂質蓄積部位が魚種ごとに異なっており、トラフグのように主に肝臓に脂質を蓄積する魚種と、マダイのように主に筋肉と肝臓の両組織に脂質を蓄積する魚種に大別される。脊椎動物では、成長ホルモン(GH)がこれらの組織における脂質の放出や取り込みを制御することが知られているが、魚類脂質代謝におけるGHの影響は未解明である。本研究では、肝臓特異的に脂質を蓄積するトラフグを対象に、GHがその脂質代謝に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、本年度はトラフグの組織切片を用いて組換えトラフグGHに応答して発現変動を示す遺伝子群を探索した。 トラフグTakifugu rubripesの筋肉と肝臓を摘出し、厚さ1mm、直径8mmの組織切片を作成して、L15培地中で20℃の条件下で24時間培養した。その後、終濃度が5ng/mLとなるように組換えトラフグGHを投与して1時間および12時間培養した。切片から全RNAを抽出し、市販のキットを用いて蛍光色素で標識されたcRNAを合成して、トラフグゲノムデータベースを利用して作成されたマイクロアレイにハイブリダイズした。定量解析を行った結果、リポタンパク質リパーゼや脂肪酸合成酵素などの脂質代謝関連遺伝子がGHに応答して発現変動することが明らかになり、トラフグの脂質代謝がGHシグナル伝達経路を介して制御されることが示唆された。これらの遺伝子群については、cDNAクローニングを行い、リアルタイムPCRによる発現変動解析の実験系を確立しており、今後経時的な発現様式を詳細に調べる予定である。 また、トラフグと近縁種であり、同様の脂質代謝制御機構を持つと考えられるミドリフグTetraodon nigroviridisの組織からGH受容体(GHR)のcDNAクローニングを行った。その結果得られた遺伝子配列からアミノ酸配列を推定し、トラフグとミドリフグの共通のアミノ酸配列を基に抗体を作製した。この抗体を用いてウェスタンブロットを行った結果、トラフグ筋肉のタンパク質抽出液においてシグナルが得られた。今後はこの抗体を用いてタンパク質レベルでのGHシグナル伝達経路の解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はマイクロアレイを用いてGH処理を施したトラフグ筋肉および肝臓の網羅的な発現解析を行い、各組織においてGH処理によって発現変動を示すリポタンパク質リパーゼや脂肪酸合成酵素などの遺伝子群を同定した。また、これらの遺伝子群のリアルタイムPCRによる発現変動解析の実験系を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイで得られたGH応答性の遺伝子群の発現変動を、リアルタイムPCRを用いて詳細に調べる。また、本年度作成したGHR抗体や市販のGHシグナル伝達関連分子を認識する抗体を用いて、これらの分子のGHに応答した変動をタンパク質レベルで調べていく予定である。
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Research Products
(2 results)