2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J07462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 静雄 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ダイバータ / プラズモイド / 動的ダイバータ / 磁気リコネクション |
Research Abstract |
核融合発電を実現する為の最有力手法であるトカマク方式は、磁場を用いて超高温のプラズマを装置壁に触れないよう閉じ込める。しかしながら、完全に閉じ込める事は不可能であり、僅かに漏れる高温のプラズマが存在する。これを処理するために考案されているのがダイバータ配位であり、耐熱負荷特性の高い材料により熱流に耐える設計である。しかしながら、国際熱核融合炉ITERでは現存する材料が耐え得ない熱負荷(100~600MW)が予想され、革新的なアイデアが求められている。 動的ダイバータは壁に触れずにこの熱流を処理する世界初のアイデアであり、本年度は修士期間に行った抵抗性MHDシミュレーションの結果を元に実験装置を設計し、実験的に動的ダイバータ動作の証明を行った。動的ダイバータ配位は、熱流を小さなプラズマの塊であるプラズモイドの中に貯め込む。プラズモイドは閉じた磁気面を持つため温度を下げやすく、既存のダイバータ配位と比べて劇的(1/10 ̄1/100)に熱負荷を削減する。証明するべきことは、 1.実際にトカマク装置からプラズモイドを生成できるのか(中規模装置での原理実証) 2.大規模装置のパラメタでも同様にプラズモイドを生成できるのか(大規模シミュレーションによる予測) 3.できたプラズモイドはガスパフにより大胆にクーリングできるか(大規模シミュレーションによる予測) 4.大型装置においてプラズモイド動的ダイバータ配位は達成できるのか(実験における最終目標) となる。 本年度は1を東大TS-4装置を用い証明し、2のシミュレーションの準備を核融合科学研究所(NIFS)と共同研究し見通しを得た。具体的には実験によりトカマク配位からの放出を初めて再現し、プラズモイドに効果的に熱流が閉じ込められている事を確認した。2のシミュレーションコードに関しては、プラズモイド放出過程の基礎物理現象である、磁気リコネクションを2D_FULLPICコードを用いて再現し、トカマク配位における(トロイダル磁場が強い系における)磁気リコネクションを介したエネルギー輸送を解明した。これは、大型装置で実際にプラズモイドダイバータ配位を形成した際に、どのように熱流が輸送されるかの基礎理論となる結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中規模実験装置TS-4においてトカマク配位からのプラズモイド放出を実験的に再現する事に成功した為。
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Strategy for Future Research Activity |
中規模実験における動作実証を終え、次のフェーズとしては、中規模から大規模へとスケールアップ可能な物理を構築する事を目標とする。具体的には、シミュレーションによる物理解明を核融合研と共同で行った上で、大規模装置を精度よく予測できるようTS-4の装置改造も行う。核融合研究の難しさは、対象装置(ITER)と大学レベルの装置のスケールギャップであり(数兆と数億)、上手く物理抽出しない限り、ITERにおいて意味のある研究は行えない。よってシミュレーションと実験が密接に連携し、モデル化を上手く行いながら中規模実験をデザインしていくことが必要であると考える。
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Research Products
(7 results)