2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲンラジカルを利用した炭素-炭素結合形成反応の開発と多成分連結反応への展開
Project/Area Number |
12J07483
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉方 孝至 大阪府立大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 臭素ラジカル / ジェン / 多成分連結反応 / 臭化ビニル |
Research Abstract |
本研究では、古くからよく知られている臭素ラジカルの反応特性を活用し、重要な生物活性物質や機能性物質の合成に資する力量ある新たな有機合成反応系を設計することを目的としている。本年度では、これまでの知見を基盤とし、反応集積化を目指して多成分連結型ラジカル反応の開発に取り組んだ。さらには臭化ビニルを用いたラジカルビニル化反応の開発にも取り組んだ。 まず、低温でもラジカルが容易に発生するV-70を開始剤とし、リン酸ナトリウム存在下、アルキリデンシクロプロパン、電子欠損オレフィンと臭化アリルとを、40℃で加熱撹拌を行ったところ、シクロプロパン環の開環を伴った三成分連結反応が生起し、2-プロモ-1,8-ジエンが得られることを見出した。 つづいて、一酸化炭素をC1合成素子として用い、一酸化炭素加圧下でアルキリデンシクロプロパン, 電子欠損オレフィン、臭化アリルとのラジカル反応を検討したところ、一酸化炭素がカルボニル基として取り込まれた四成分連結型のラジカル反応が進行することを見出した。 また、ビニルシクロプロパンと臭化アリルによる[3+2]型付加環化反応が進行し、シクロペンタン骨格が良好な収率で得られることを見出した。 さらには、臭化ビニルを連鎖移動剤として用いたアセタール類、アミド類の位置選択的ビニル化反応の開発にも成功している。 以上、本最終年度では、臭素ラジカルの特性を活用した種々の合成反応の開発を達成した。本ラジカル反応系は特殊な試薬を用いる必要がなく、生成物中に反応性の高い臭素一炭素結合を容易に導入することができ、合成化学的に大きな意義があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究目的である臭素ラジカルを利用した炭素-炭素結合形成反応の開発は、当初の研究計画以上の成果を達成することができた。また、ビニルシクロプロパンを用いる[3+2]付加環化反応や、一酸化炭素や電子不足オレフィンを用いる多成分連結反応への展開も達成できている。さらには、臭化アリルの代わりに臭化ビニルを用いた連鎖型のラジカルビニル化反応の開発も達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で臭化アリルや臭化ビニルが優れた連鎖移動剤として機能することを明らかにした。今後は、臭化アリルや臭化ビニルに加えて、その他の臭素化物を用いた検討を行い、さらに研究の質を向上させて行く必要がある。
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Research Products
(3 results)