2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J07486
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮澤 大樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノ粒子 / 脳 / カロテノイド / tween-80 / ラット / PLGA / UV-HPLC / ゼータ電位 |
Research Abstract |
脳血管関門を通過するナノ粒子(受容体接着因子であるApoE3タンパクをPEGナノ粒子に抱合させ神経細胞に取り込ませエンドサイトーシスを利用し抗酸化分子を送達させ放出させる)を作成するに際し、まず脳への到達が既に確認されているTween-80で表面を覆ったPLGAナノ粒子(Proc Natl Acad Sci USA. 2011 Nov 15 ; 108(46) : 18837-42.)で検証を行った。そして、内包物は最初にカロテノイドでの検証を検討し、ルテインを使用する前に、安価で扱いが容易なβカロテンで検証を行った。調製したナノ粒子の粒経とゼータ電位はZetasizer Nano ZS(スペクトリス株式会社)で計測し、平均粒径は350nm位であることが分かり、表面の電位もマイナスに帯電していた。このことから、調製した粒子は血中でも問題なく循環できる可能性が示唆された。更に、調製した粒子でSDラットへの脳移行量を検証した。生後6週令のラットを以下の3群(1)ナノ粒子を懸濁した生理食塩水、(2)βカロテンをtween-80で分散させた生理食塩水、(3)生理食塩水のみ(コントロール群)に分けて、尾静脈投与を行った。そして、投与2時間後に断頭採血、脳の摘出を行い、組織と血漿からカロテノイドを抽出し、UV-HPLCで分析を行った。その結果、ナノ粒子投与群はβカロテンをtween-80で分散させた生理食塩水の投与群と比較して脳へ3倍高い移行量を示したことが分かった。また、面白いことに投与2時間後ではナノ粒子投与群のみ血漿中に高いβカロテン濃度を確認した。この理由として他の群では血中のβカロテンは早急に代謝されるが、PLGAで表面を覆ったことで血中に徐々に粒子が崩壊し、長時間βカロテン濃度を維持できたものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットの尾静脈投与の習得に時間が多くかかってしまった。粒子調製の際に、調製した粒子の粒径が望むサイズに至らない問題(400nm以下のものを作成したいが、大きいものが出来てしまう)が発生した。粒子に封入する脂溶性抗酸化物質の量が少ない。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、粒子の粒径を安定させるため、メンブレンフィルターでふるいをかけ、望むサイズのふるいを通過したもののみ実験で使用する。粒子に封入する脂溶性抗酸化物質の封入率上昇のために、粒子調製を暗室で行うこととする。 カロテノイドや他の脂溶性抗酸化物質は光や熱で崩壊しやすいにもかかわらず、現在まで室温で陽光のあたる場所で実験を行なっていたことが問題であった。
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Research Products
(6 results)