2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J07545
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀之内 妙子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 発芽停止 |
Research Abstract |
【目的】アミノ酸GAFは、2010年に根圏バクテリアの一種であるPseudomonas fluorescens WH6から単離、構造決定された。GAFとはGerination Arrest Factor(発芽停止因子)の略称であり、GAFは雀の帷子などの一年生単子葉植物の発芽を不可逆的に停止するため新規の除草剤としての可能性が期待されている化合物である。そこで、これまでに報告のない新規骨格である0-ビニルヒドロキサム酸構造の骨格構築法の開発、現段階では明らかになっていない発芽停止メカニズムの解明に必要な試料の恒常的な供給、さらにGAFの各種類縁体の合成による更に優れた除草剤候補化合物の創製という三つの事項を目的とし研究を行った。 【結果】本ルートは安価なL-メチオニンから調製したデヒドロメチオニン保護体のビニルスルフィド部位に対して、ヒドロキサム酸を用いたオキシマーキュレーションを行い、更に水銀と硫黄の親和性によりSMe基を脱離させることで、一気にGAFの保護体を得るというものである。 検討の結果、パラメトキシベンジル基(PMB基)を保護基としたデヒドロメチオニン保護体のアセトニトリル溶媒に対し、PMB基を保護基としたヒドロキサム酸、水銀テトラフルオロボレート、ジイソプロピルエチルアミンを一当量ずつ用い室温で一晩反応させる条件が良いことがわかった。現段階では本反応の収率は中程度であるものの、新規反応を開発しL-メチオニンから3工程でGAFのPMB保護体を得ることに成功した。今後は、保護基の除去を行いGAFの全合成と達成し、さらにGAFの各種類縁体の合成による更に優れた除草剤候補化合物の創製を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の有機反応を見出し、GAFの基本骨格を効率的に合成する手法を開発したが、GAFの全合成には至っていないため、おおむね予定通りのペースで研究が進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは保護基の除去を行い、GAFの全合成をおこなう。保護基の除去に問題が生じた場合は、保護基を別のものに変更する必要もあると考えている。全合成完了後は、各種類縁体の合成・スズメノカタビラを用いた発芽停止活性評価を行う。
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Research Products
(2 results)