2012 Fiscal Year Annual Research Report
弾性梁の凝着による把持・脱離システムの最適設計と試作
Project/Area Number |
12J07674
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
関口 悠 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | 固体間凝着現象 / 生体模倣 / 凝着力制御 / 弾性梁理論 / 把持脱離ディバイス / 凝着ヒステリシス |
Research Abstract |
本研究課題は,生物の優れた特徴からヒントを得た凝着モデルによる把持脱離メカニズムの解明とその応用を目的としている.ヤモリは,手足の微細毛構造が物体表面に凝着することにより自身の体重を支えるのに十分な把持力を得ている.微細毛構造による凝着現象の理解は,凝着力を利用した把持脱離ディバイスの設計の上で非常に有用である.ヤモリの手足先端に生えるSpatulaと呼ばれるナノサイズの毛はヘラ状であり,毛の側面が凝着していると考えられている.ヤモリのSpatulaをヒントにし,片持ち弾性梁の側面が平面基盤に凝着する梁側面凝着モデルを考案した.この凝着モデルを応用した把持・脱離の実現には,着脱メカニズムの解明が必須である.弾性梁側面が凝着するときの押し込み量と力の関係を熱力学的エネルギー平衡条件より解析的に導出した.つまり弾性変形によるひずみエネルギーの変化と凝着による表面・界面自由エネルギーの変化におけるグリフィスの平衡条件から梁側面が凝着している状態で梁に働く力が導出された.このときエネルギーは保存され,エネルギーの散逸はないと仮定した.しかしながら高分子ゲルを用いた実験において,エネルギー散逸の影響とみられるヒステリシスが観測された.凝着仕事(凝着している界面を引き剥がすのに必要とされる単位面積当たりのエネルギー)はある界面において一意に決まるパラメータであるが,実験では押し込み時と引き上げ時において異なる値を示した.これは一般に凝着ヒステリシスと呼ばれる現象であると推測される.凝着ヒステリシスの影響の補正として押し込み時と引き上げ時における凝着仕事の変化を考慮することで,梁側面凝着モデルにおける解析解と実験結果の差を説明できることが明らかにされた.また,凝着ヒステリシスを考慮した場合の凝着力が最大押し込み量と梁の傾きに大きく影響されることが明らかにされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凝着モデルの考案および凝着メカニズムの解析により凝着力制御の可能性を解析的に議論し,論文等に発表している.
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Strategy for Future Research Activity |
凝着力制御の解析的な議論がなされたので,今後実験的に制御の可能性を検討し,把持脱離システムの試作を行う.
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Research Products
(4 results)