2012 Fiscal Year Annual Research Report
輻射効果を含んだ超高強度レーザーと物質との非局所相互作用理論と高強度場科学の開拓
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12J07688
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 夏弥 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超高強度レーザープラズマ相互作用 / 相対論的動重力 / 高次非局所効果 / 輻射減衰 |
Research Abstract |
平成24年度における本研究では、超高強度レーザーとプラズマとの相互作用が作り出す極限的な物質状態に対する理解とそれに基づく応用研究を進展させることを目的とし、下記二項目を系統的に進めた。 【1.非局所理論モデルの開拓】 ハミルトン理論を基礎とした非正準Lie摂動論に基づいて、高強度レーザー場中での相対論的動重力の高次非局所効果に関する理論研究を行った。その成果として、従来の局所理論では表されない粒子運動の非局所効果をレーザー場振幅の高階微分(曲率および曲率の変化率)によって表現した新しい動重力の表式を得ることに成功した。また、場の高次構造が支配的となるレーザー場として、近年レーザーイオン加速等において有用性が注目されているフラットトップレーザービームに着目して粒子軌道の数値解析を行い、高次非局所効果が運動を決定する重要な役割を果たすことを明らかにした。 【2.輻射減衰を取り入れた統合粒子コードの開発】 当研究室で開発を進めている数値計算コードEPIC3D(Extended Particle Based Integrated Code)に基づいて輻射減衰領域での高強度レーザー物質相互作用に関する数値実験を行うことを目的に、コード開発の共同研究を行った。本年度は、(1)輻射減衰効果の評価を行う際の基礎となるエネルギー保存計測ルーチン、(2)輻射減衰効果を Landau-Lifshitz方程式に基づいて取り入れた運動方程式モジュール、(3)Tddent過程、Bethe-Heitler過程による電子陽電子対生成ルーチンの開発に取り組み、このうち(1)について詳細な動作確認を行った。以上のコード再構築により、物質からのX線,γ線輻射の評価と輻射減衰や対生成が系の振舞いに及ぼす影響の解析が可能となり、超高強度レーザーに照射された物質状態の解明のための大規模数値実験の基盤が整えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【1.非局所理論モデルの開拓】では、高強度レーザー場中での動重力の高次非局所効果を記述する新しい方程式の導出に成功し、その成果を海外学会での口頭発表を含む計5件の学会・研究会において報告した。また、【2.輻射減衰を取り入れた統合粒子コードの開発】では、エネルギー保存計測ルーチンおよび輻射減衰を取り入れた蓮動方程式モジュールを数値計算コードに導入することにより、超高強度レーザーに照射された物質状態の解明のための大規模数値実験の基盤を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
【1.非局所理論モデルの開拓】では、平成24年度に完成させた高次非局所効果を含む動重力方程式をもとに、新しく得られた項が重要となる領域や適用限界等を明らかにし、プラズマ中でのレーザー光の自己収束の問題への応用の可能性等を検討する。これらを論文にまとめることで動重力の高次非局所理論の完成を目指す。 【2.輻射減衰を取り入れた統合粒子コードの開発】では、これまでに開発したコードに基づき、10^<24>W/cm^2のイオンの相対論領域を視野に入れた超高強度レーザーと物質との相互作用に関する大規模数値実験を行い、輻射減衰やイオンのレーザー光による直接加速、電子陽電子対生成が共存して作り出す複雑なプラズマ物質状態と高強度レーザー,輻射場との高エネルギー密度相互作用の理解、および1その中での高エネルギー・高品質の粒子線、X線、γ線の発生機構の解明を目指す。
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Research Products
(6 results)