2012 Fiscal Year Annual Research Report
制御性B細胞における食品由来ポリフェノールの免疫調節機能性
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12J07748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
葉 鎮豪 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ケンフェロール / タマリキセチン / 制御性B細胞 / 実験的自己免疫性脳脊髄炎 |
Research Abstract |
本研究では、免疫反応を調節する制御性B細胞の分化誘導メカニズムを調べるために、C57BL/6マウスの脾臓、腸間膜リンパ節と小腸パイエル板からB220+B細胞を抽出した。そのB220+B細胞を多種類の食品由来ポリフェノール類とTLRのリガンドある/なしの状況で培養した。その結果、ケンフェロールとタマリキセチンは、CpG(TLR9リガンド)、LPS(TLR4リガンド)で誘導されるB細胞のIL-10分泌と細胞増殖を増強した。また、ケンフェロールとタマリキセチンの存在下LPSとともに培養して得られたB細胞をマルチカラーフローサイトメトリーで解析した場合には、LPSのみで誘導したB細胞と比べて、より強くIL-10とIL-27を分泌することが明らかとなった。 次の段階では、ポリフェノール存在下で分化誘導した制御性B細胞の効果を確認するために、ケンフェロールとタマリキセチンでプライミングした制御性B細胞をEAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)発症マウスモデルに移入した。その結果、EAE臨床症状の改善が認められたことより、ケンフェロールとタマリキセチンによるB細胞の分化誘導が制御性増強に重要であることが明らかとなった。さらに、EAE発症マウスT細胞のIFN-γとIL-17の産生も、ケンフェロール/タマリキセチンとLPSで誘導したB細胞を移入した場合に、より大きく低下する傾向を示した。以上の結果から、食品由来ポリフェノール類が制御性B細胞の分化誘導を促進し、in vivoにおける炎症抑制効果を強化することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はこれまでの研究で、制御性B細胞の分化誘導を促進する食品因子の探索に取り組み、世界に先駆けてそのような活性を有する食品由来低分子化合物をいくつか見出すことに成功した。また、in vivoモデルにおける炎症抑制効果を強化することも示した。さらに、このような化合物の発見は国内外でこれまでに例のないものであり、本年度これに関する学会発表を行っている。このように、本年度の研究達成度はおおむね順調に進展したと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの成果について、B細胞の分化に及ぼす影響を明らかにしており、今後の研究は腸管免疫系のB細胞に対するその化合物の効果についても詳細な解析を行いたいと考えている。これら上記小分子化合物の伝達受容体、またはルートの確認のため、候補受容体KOマウス、SH/SiのRNAノックダウン戦略や候補受容体拮抗薬を用いたアッセイを実行する。新たな展開を目指して英国Babraham研究所のMarc Veldhoen博士に連絡をとり、同博士の指導を受け、その解析に必要な各種遺伝子改変マウスを用いるために短期渡英して上記化合物の作用機構の解明にも取り組む。
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Research Products
(2 results)