2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J07761
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平泉 拓 東北大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高齢者介護 / 認知症介護 / 家族関係ヒストリーグラフ / 家族介護システム / 介護評価 / 抑うつ |
Research Abstract |
平成24年度は、本研究全体の基礎研究として、家族関係ヒストリーグラフ(Family Relationship History Graphs:FRHG)を用いて認知症介護をしている家族関係を査定した2事例を報告し、認知症介護における家族関係の査定方法について検討した。家族関係ヒストリーグラフとは、過去から現在にかけての家族関係を折れ線グラフで記述し、家族関係の歴史を可視的かつ数量的に把握する家族査定法である。主たる家族介護者を対象としてFRHGを用いた半構造化インタビュー調査を行った結果、FRHGの特徴として(1)情報量の豊富さと体系性、(2)情報の社会的構成と可視化効果、(3)家族支援への適用方法(「家族関係の把握」「介入視点の獲得」「介入前後の定点評価」)が示唆された。その他,テストバッテリーの組み方、家族として測定する構成員の範囲について考察した。この研究によってFRHGを用いた家族関係の査定が有益であること明らかになった。 また、平成24年度は、上記の研究に引き続き、要介護高齢者を居宅で介護している主たる家族介護者167名を対象として、要介護者、主介護者、副介護者の三者から構成される「家族介護システム」の構造を測定し、家族介護システムの構造と主介護者の介護評価、抑うつ症状との関連を検討した。方法は、郵送法による自記式質問紙調査であり、2012年8月から9月にかけて宮城県と福島県を除く東北地方3県、及び九州地方1県にある主要な地方都市において、訪問看護・訪問介護サービスを実施している施設・事業所の協力を得て実施した。平成25年4月現在は、一回目の分析を終えて、論文投稿に向けて再分析を行っている。概して、この研究によって、家族介護システムが主介護者の否定的介護評価を媒介して抑うつ症状に影響し、また主介護者の肯定的介護評価にも影響するメカニズムが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、フィールドワーク調査を実施し、家族関係ヒストリーグラフを用いた認知症介護における家族関係の査定方法に関する論文を報告し、また質問紙調査を行った。当初の計画では質問紙調査を行った研究について論文投稿をする予定であったが、平成25年4月現在は分析等の再検討を進めている段階である。しかし、概ね順調に進展しており、高齢者介護における家族関係の解明という主題に接近することができる研究内容となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、引き続きフィールドワーク調査を実施する予定である。平成24年度はフィールドとの関係構築に力点を置いたため具体的なインタビュー等は実施していないが、平成25年度はこれまでの取り組みの中で各アクターと関係性が構築されつつあることから、具体的なインタビューに移行する段階に至っている。また、これまでに実施した質問紙調査の結果に基づき、更に深めるべき点が浮かび上がってきたため、今後は、研究計画に則り、次の質問紙調査に着手したいと考えている。
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Research Products
(2 results)