2014 Fiscal Year Annual Research Report
現実的な流動則を考慮した数値計算による沈み込み帯付近の異方性構造の制約
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12J07796
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森重 学 京都大学, 理学研究科, 研究員
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 沈み込み帯 / 火山分布 / 熱流量 / 地震分布 / プレート境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
東北日本弧と千島弧の接合部周辺では火山分布の空白域、特異な低地殻熱流量領域、そしてスラブ内地震分布の深化が見られることが知られている。これらの観測を3次元スラブ形状、そしてスラブとマントルの運動がデカップリングする深さ下限の局所的な変化によって説明可能かどうかを有限要素法に基づいた数値モデルを使って検証した。その結果マントルウェッジ内に生じた3次元的な流れと熱伝導の効果により接合部付近に高温異常と低温異常の両方が生じることが明らかになった。しかしその大きさはそれ程大きくはないことから(スラブ表面温度で100度程度、表面熱流量では無視できる程に小さい)、今回考慮した要素は東北日本弧と千島弧の接合部周辺の温度構造に対して大きくは影響していないといえる。これらの結果をまとめたものを国際誌Geochemistry, Geophysics, Geosystemsに出版した。 沈み込むスラブの表面に薄い低粘性層が存在する時に、その層の内部で3次元的な変形が起こり、その結果弧に沿った方向の温度変化が生じることを発見した。この低粘性層はスラブとマントルの運動をデカップリングさせ、多くの沈み込み帯の前弧領域で観測される低地殻熱流量を説明するために必要であることが知られている。またこの結果は、従来の考え方とは異なり、スラブとマントルの運動がカップリングする程度が弧に沿った方向に変化し得るということを初めて示したという点で重要である。さらにこのモデルによって得られた3次元温度構造によって、東北地方で観測される火山グループの弧に沿った方向の分布を説明できる可能性がある。これらの結果をまとめたものを現在投稿中である。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)