2013 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンにおけるウイルス性呼吸器感染症の疫学および重症化因子の調査
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12J07846
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今村 忠嗣 東北大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | ウイルス学 / 呼吸器感染症 / フィリピン / 熱帯医学 / 分子疫学 |
Research Abstract |
フィリピン国内の3つの州 ; レイテ州・ビリラン州・パラワン州において急性呼吸器感染症患者からの臨床検体採取および患者情報収集を行なった。採取した検体・情報に対する解析の結果、検体採取を開始した2012年夏以降、前述3研究サイトの病院に肺炎で入院した小児患者の多くがRSウイルス(RSV)に対して陽性であることが明らかとなった。RSV陽性肺炎患者はRSV陰性肺炎患者よりも重症呼吸器症状の頻度が高く、また呼吸数などのバイタルサインにも違いが認められた。さらに、研究期間中に3研究サイト全てにおいて、新たな遺伝子型 : ON1の出現が確認された。それまでにフィリピンで流行が確認されていた遺伝子型 ; NA1およびBA9に陽性であった患者に比べ、ON1陽性患者はさらに重症な呼吸器症状を呈する傾向が認められた。 採用第1年度目に引き続き、フィリピンで急性呼吸器感染症患者から検出されたエンテロウイルス68型(EV68)に関する研究も継続して行った。フィリピンにおいて検出されたEV68のウイルス遺伝子に対して分子疫学およびウイルス進化過程に関する解析を行い、フィリピンにおけるEV68の流行形成機序を遺伝子レベルで明らかにした。さらに、それまで呼吸器検体からの検出のみ報告されてきたEV68が、呼吸器検体中に陽性であった肺炎患者の血清中にも検出されることを初めて報告した。また、上記の解析に並行して行なった基礎的研究により、近年流行したEV68は過去に検出されたウイルス株と大きく異なる抗原性を有することが明らかとなった。さらに、EV68がα2-6結合型シアル酸(ヒト上気道に分布しインフルエンザウイルスの受容体として知られる糖鎖)に対して親和性を持つことを初めて明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Molecular evolution of Enterovirus 68 detected in the Philippines.2013
Author(s)
Tadatsugu Imamura, Akira Suzuki, Socorro Lupisan, Michiko Okamoto, Rapunzel Aniceto, RutchieJ. Egos, Edgardo E. Daya, Raita Tamaki, Mariko Saito, Naoko Fuji, Chandra Nath Roy, Jaime M. Opinion, Arlene V. Santo, Noel G. Macalalad, Amado Tabdoc III, Lydia Sombrero, Remigio Olveda, Hitoshi Oshitani.
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Antigenic and receptor binding Properties of Enterovirus 682013
Author(s)
Tadatsugu Imamura, Michiko Okamoto, Shin-ichi Nakakita, Akira Suzuki, Mariko Saito, Socorro Lupisan, Chandra Roy, Hiroaki Hiramatsu, Kanetsu Sugawara, Katsumi Mizuta, Yoko Matsuzaki, Yasuo Suzuki, Hitoshi Oshitani.
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Journal Title
Journal of Virology
Volume: 88
Pages: 2374-2384
DOI
Peer Reviewed
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