2012 Fiscal Year Annual Research Report
下水処理施設中および処理後のペルフルオロ化合物類の挙動把握と運命予測に関わる研究
Project/Area Number |
12J07853
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 裕識 京都大学, 地球環境学堂, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微量有機汚染物質 / ペルフルオロ化合物類 / 下水処理施設 / 生物処理工程 / 前駆物質 / 生物濃縮 |
Research Abstract |
下水処理工程中および処理後のPFCs(ペルフルオロ化合物類)の挙動を把握し運命予測を行うことを目的とし、今年度は2つの研究課題を進めた。それぞれの成果を以下に示す。 課題A:生物処理工程におけるPFCsの濃度上昇メカニズムの把握 本課題では、生物処理工程における濃度上昇の要因を検討するために(1)活性汚泥への吸着と(2)前駆物質の分解によるPFOA生成に着目し、生物反応槽模擬装置を用いた半回分式生物処理実験と、前駆物質の回分式分解実験を行った(実験器具および試薬:消耗品費、モニタリングおよびデータ処理用PC:消耗品費)。得られた成果として、(1)PFOAが生物処理工程において、活性汚泥に吸着して循環しているだけではなく、前駆物質から生成していることが示された。本成果をとりまとめ、土木学会環境工学研究論文集に主筆として投稿、受理され、第49回環境工学研究フォーラムにおいて口頭発表を行った(学会等における成果発表旅費、その他経費)。 未確立であった下水試料中のFTOHsの分析方法を検討し、より効率の高い抽出方法を見出した(実験器具および試薬:消耗品費)。本成果を取りまとめ、第15回日本水環境学会シンポジウムで口頭発表を行った(学会等における成果発表旅費、その他経費)。 課題B:下水処理場を負荷源とするPFCsの運命予測 本課題では、下水処理水から植物への濃縮を検討するために、放流口付近で放流水、底質、植物を採取し、PFCsを分析した(実験器具および試薬:消耗品費)。また、同流域で栽培された地産野菜中のPFCs濃度を調査した(実験試薬:消耗品費)。主な成果をとして、(1)PFCsは茎よりも葉に移行しやすい可能性が示された。(2)安威川流域のチンゲン菜からPFHxAが12.6ng/g-dryの高濃度で検出された。本成果をとりまとめ、第47回水環境学会年会において口頭発表を行った(学会等における成果発表旅費、その他経費)。さらに、植物への濃縮を検討する室内実験を開始した(実験器具:消耗品)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1つの研究課題(上述の課題A)を取りまとめて、査読論文として発表できた。また、2つの研究課題(上述の課題AおよびB)から、3つの口頭発表を行うことができた。 達成できた研究は、当初予定していた計画の通りとまではいかないが、3年間を通して考えると順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
〈方策〉 ・課題Aで見出した前駆物質からのPFCsの生成に関して、検討を進める。 ・課題Bで検討した植物へのPFCsの濃縮に関して、フィールド調査で傾向がみられたので、詳細な検討を実内実験によって検討する。実験に必要な実験装置や器具等は1年目に組み立て、準備した。 〈問題点、対応策〉 下水処理場からの負荷として当初の計画では余剰汚泥に着目していたが、肥料として利用されている事例が少なく、検討が遅れている。今年度調査した放流水中に残留するPFCsと共に、調査を進める。
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Research Products
(4 results)