2013 Fiscal Year Annual Research Report
下水処理施設中および処理後のペルフルオロ化合物類の挙動把握と運命予測に関わる研究
Project/Area Number |
12J07853
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 裕識 京都大学, 地球環境学堂, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微量有機汚染物質 / ペルフルオロ化合物類 / 下水処理施設 / 生物処理工程 / 前駆物質 / 生成能 / 生物濃縮 / ヒトー日摂取量 |
Research Abstract |
下水処理工程中および処理後のPFCs(ペルフルオロ化合物類)の挙動を把握し運命予測を行うことを目的とし、平成25年度は2つの研究課題を進めた。以下に詳述する。 課題A : 生物処理工程におけるPFCsの濃度上昇メカニズムの把握 本課題では、(1)前駆物質からのPFCs生成能を簡易的に評価する手法の確立を目指し、実下水処理場から採取した種々の下水試料(4、12月の調査 : 旅費)を密閉容器に暗所4℃で一定期間保存して、定期的にPFCs濃度をモニタリングした(実験器具および試薬 : 消耗品費)。その結果、①5か所の下水処理場(A~E処理場)の返送汚泥およびA処理場の7つの処理工程の下水試料中でPFOA濃度が保存期間中に増加し、1~2か月後に極大値となった。つまり、本方法によりPFCsの生成能を把握できる可能性が示された。本成果を取りまとめ、第48回日本水環境学会年会で口頭発表を行った(学会等における成果発表旅費、その他経費)。 課題B : 下水処理場を負荷源とするPFCsの運命予測 本課題では、(2)植物や底質等の固形試料中の11種の前駆物質に対する分析法を検討し、成果を学会で発表した。(実験器具および試薬 : 消耗品費)。(3)室内植物栽培装置を用いてPFCsの用水から用土および野菜(コマツナ、ラデッィシュ)への移行・濃縮に関する実験を進めた(実験装置、器具 : 消耗品)。(4)大阪・安威川流域の下水処理場放流口付近および河ロ部(大阪湾)における調査を行い(6、7月の調査 : 旅費)、データを蓄積した。(5)沖縄南部の6地域を対象に地産農産物を調査した(実験器具および試薬 : 消耗品)。同時に、同地域で生産された食品中のPFCs濃度を分析し(実験器具および試薬 : 消耗品)、農産物を含む食事を介したヒトへのPFCs曝露に関する知見を得た。 昨年度に実施した研究の成果をまとめ、22nd Joint KAIST-KYOTO-NTU-NUS Symposium on Environmental Engineering(他1件)で口頭発表を行った(学会等における成果発表旅費、その他経費)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1つの研究課題(上述の課題B)を取りまとめて、査読付きAbstractとして発表できた。また、2つの研究課題(上述の課題AおよびB)から、4つの口頭発表(国内2つ、国外2つ)を行うことができた。室内栽培装置を用いて、野菜(コマツナおよびラディッシュ)を20日間かけて栽培するノウハウを得た。これによって、次年度に種々の検討を行えるようになった。 達成できた研究は、当初予定していた計画の通りとまではいかないが、3年間を通して考えると順調に進んでいると考えられる。次年度は最終年度となるため、当初の目的を達成できるようこれまでの成果をまとめる。
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Strategy for Future Research Activity |
〈方策〉 ・課題Aで見出した前駆物質からのPFCsの生成に関して、生成の速度論的議論や中間生成物の探索などさらに検討を進める。 ・課題Bで検討した植物へのPFCsの濃縮に関して、フィールド調査結果および室内栽培実験結果を取りまとめ、下水処理施設経由のPFCs汚染による環境への移行および濃縮ならびにヒトへの曝露について検討を進める。 〈問題点、対応策〉 昨年度同様、下水汚泥から作られる肥料の検討が遅れている。次年度は放流水中と余剰汚泥に環留するPFCsを考慮に入れ、植物栽培実験を行う。また、これまでの研究成果から前駆物質の残留の可能性も考えて研究を進める。
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Research Products
(6 results)