2013 Fiscal Year Annual Research Report
壁細胞特異的Notch3による虚血性血管新生メカニズムの解明
Project/Area Number |
12J07954
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
山本 由美 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Notch3 / CADASIL / 血管性認知症 / 血管新生 |
Research Abstract |
Notchは隣接細胞同士のシグナル伝達により分化、遊走、細胞死など幅広い細胞機能を制御する細胞膜受容体である。1-4のホモローグのうち、Notch3は血管壁細胞(平滑筋・ペリサイト)に特異的に発現しており、その遺伝子変異により全身性の血管障害を伴う脳小血管疾患(CADASIL)を発症することが知られている。近年、Notch3の欠損または変異により血管新生の障害が起きている可能性が示唆されている。そこで、本研究では壁細胞の機能と動態に着目して、Notch3が虚血および低酸素条件下での血管新生を制御する機序を解明することを目的とした。 平成25年度は、まず初代培養細胞を使用して血管平滑筋細胞の至適培養条件の設定とNotch3のノックダウン実験を行った。Notch3 siRNAを導入後に正常酸素圧および低酸素圧下で培養したところ、Notch3ノックダウン細胞ではHIF1αの増加が優位に低下していた。この結果と比較するため、前年度に樹立したCADASIL患者由来iPS細胞から分化させた血管壁細胞で同様の実験を行ったところ、Notch3ノックダウン細胞の結果とは対照的に、CADASIL壁細胞では正常コントロールと比べてHIF1αの誘導が過剰に起こることが示唆された。HIF1αは細胞の虚血抵抗性に関係する分子であるが、同時に低酸素状態でのアポトーシスにも関わっていることが知られている(Greijer AE, J Clin Pathol. 2004)。これらの結果から、CADASILの病態発生メカニズムがLoss of functionではなくGain of toxic functionである可能性が高くなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
京都大学とのiPS細胞のMaterial transfer agreement締結に時間がかかったため、予定していたiPS細胞を使用した実験は平成26年度に持ち越されることになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
CADASIL患者由来のiPS細胞から壁細胞を誘導し、トランスジェニックマウスおよび初代培養細胞から得られた結果がiPS細胞由来壁細胞でも再現されるのか確認を行う。また、その知見を基に治療法の開発を試みる。
|
Research Products
(2 results)