2014 Fiscal Year Annual Research Report
形態的および化学的特徴に基づいた先カンブリア時代微化石分類
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12J07955
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
伊規須 素子 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋地球生命史研究分野, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 赤外分光法 / 紫外可視分光法 / 水熱実験 / シアノバクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に実施したのは、1微化石試料の顕微赤外分光分析、2微生物の変質実験の予備実験である。 微化石試料の顕微赤外分光分析は、前年度までに両面研磨薄片を用意したTinder Group産チャート2試料中の糸状微化石、球状微化石および不定形炭質物に対して行った。その結果、いずれの試料からも有機物のシグナルを検出することが出来なかった。前年度までに行った顕微ラマン分光分析から、炭質物の熟成度は他の原生代微化石と同等に低いと見積もられる。そのため、赤外分光分析の結果は微化石を構成する有機物濃度が低いことが理由と考えられる。 微生物の変質実験では、微生物細胞を水熱した場合の変化を調べるための水熱セル装置の立ち上げと、実験条件の設定を予察的に行った。水熱セルを用いたシアノバクテリア細胞の水熱実験を温度80℃、加熱時間4日間の条件で行い、その場赤外分光測定およびその場紫外可視分光測定を行った。その結果、赤外分光測定では水の吸収帯により、水熱中のシアノバクテリア細胞の変化を追跡することが出来なかったが、水熱前後の赤外スペクトルを得ることに成功した。共同研究者らの経験によると、本実験で使用する水熱セルに試料(主に水溶液)を封入し水熱すると、加熱中に試料室内の水がセルから抜け出ていく問題があるとのことであったが、本予備実験では、加熱後も試料室内の水は約8割の量が保持された。本予備実験で水が保持された理由が不明だが、出発物質(微生物細胞)が保水に適していたのかもしれない。紫外可視分光測定では、実験中に分光装置に不具合が生じたため、途中までしかデータを得ることが出来なかった。今後、実験の再現性等を確認し、試料のマウント法や実験温度、時間等の詳細な条件を決定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた2項目、微化石試料の分析と微生物細胞の変質実験について、追加分析と予備実験を実施することが出来た。年度途中に育児休業等を取得したため、実際研究を実施できた5か月間という期間の中では、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に沿って進める予定である。微生物細胞の変質実験では、条件を決定し、実験を遂行することを目指す。微化石試料については、薄片準備が完了次第、速やかに分析に取り掛かることができるようにする。
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Research Products
(2 results)