2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J07985
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原瀬 晋 東京工業大学, 大学院・イノベーションマネジメント研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 擬似乱数 / 高次元均等分布性 / Mersenne Twister / 格子簡約アルゴリズム / 準モンテカルロ法 |
Research Abstract |
確率的現象を計算機上でシミュレーションする際、擬似乱数発生法が必要となる。二元体上の線形漸化式に基づく擬似乱数発生法については、主に、 1.特性多項式の非零の項数 2.高次元均等分布性 の二つが理論的な性能評価指標として用いられている。本年度は、2.に関連して、高次元均等分布が保障されていない、より高次元における性質を調べる方法を研究した。特に、Couture-L'Ecuyerの双対格子法から得られる、上位ビット上に現れる次数最小の線形関係式の項数に着目し、その中で最小の項数を擬似乱数の評価指標として提案した。この項数が少ない場合、乱数性に問題が生じる可能性がある。格子簡約アルゴリズムを用いて求めた最短ベクトルに対して、グレイコードを使って数え上げることにより、次数最小の線形関係式を効率的に求めるアルゴリズムを与えた。この評価指標は1.の多次元化の一つと見なすこともできる。実際、松本-西村により開発されたMersenne Twister擬似乱数法MT19937に対して、上述の線形関係式を求めたところ、5項や6項といった少ない項数の線形関係式が存在することが分かった。 これらの関係式の集中する3次元や5次元について、ラグをつけたMarsagliaの誕生日間隔検定を行うと、棄却または非常に小さなp-値が得られる。一方、Mersenne Twister法の後継機であるWELL法などの擬似乱数発生法に対して適用し、安全性が改良されていることが分かった。この結果を論文としてまとめ、現在、投稿中である。また、準モンテカルロ法に用いる低齟齬列について文献調査を行い、松本眞氏らにより新しく提案されたWAFOMや(t,m,s)-netのt-値を求めるプログラムを実装した。これらを用いて、低齟齬列の設計や評価に応用することが次年度の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の目標であった、擬似乱数の性能評価法に関する結果を論文としてまとめ、投稿することができた。 また、擬似乱数のパラメータ探索を行い、比較的良い発生法を得ることができたので、上記の論文に含めた。東京大学大学院数理科学研究科で行われた準モンテカルロ法と擬似乱数発生法に関する国際ワークショップのオーガナイザーの一人となり、研究者同士の交流を図ると共に、最先端の研究成果に触れることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に行う予定である低朗語列発生法の設計と評価に関して、WAFOMや(t,m,s)‐netのt-値の高速計算法などの新しい手法が提案されたため、C言語による実装を行った。これらの手法は大いに役立つことが予想され、形式的べき級数体の格子などの擬似乱数発生法のテクニックと組み合わせる方向性を考えている。また、スクランブル法を適用したSobol列に関して、高次元積分における有効性とWAFOM及びt-値との比較検討を行う関連課題が見つかり、現在、研究を進めている。そのほか、シミュレーション用擬似乱数のために開発した線形関係式を用いた性能評価の方法を修正することにより、暗号理論における擬似乱数の性能評価にも応用できる可能性があり、検討を行っている。
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Research Products
(4 results)